気流中に浮遊しているエアロゾルを分離除去する操作を集塵と呼ぶ。粒子の大きさはサブミクロンから数百ミクロン,濃度は数十g/m3から数個/m3までと非常に広範囲に及んでいる。粒子への作用で集塵装置を分類すると,重力,慣性力,遠心力,洗浄,濾過,電気集塵などに分けられる。また,気流と粒子の分離形体からは,流通形式,障害物形式,隔壁形式に大別することができる。表に分類と各集塵装置の特徴をまとめた。
(1)流通形式
障害物のない流路に含塵ガスを流通させる方式であり,粒子は流れに直交して作用する重力,遠心力,静電気力などの作用を受けて,流れの系外へと移動し除去される。この形式には,重力集塵,サイクロン,電気集塵などがある。この形式は装置の圧力損失が小さく,気流が時間的に安定しているため,多量のガスを処理する場合は適していると言える。一般に集塵効率は乱流よりも層流のほうが良くなる。
(2)障害物形式
流路中に障害物を挿入して,粒子を捕集する形式の集塵装置であり,エアフィルタ,慣性集塵,洗浄集塵などがこの形式に属する。粒子は個々の障害物の表面に捕集される。
(3)隔壁形式
布や多孔質体などの気体は通すが,粒子はほとんど通さない捕集体を流路にさえぎるように配置することで,粒子を捕集体表面に分離する形式の集塵装置である。この形式にはバグフィルタ,セラミックフィルタなどがある。セラミックフィルタは高温でも使用できることから,ディーゼルエンジンの排ガス処理にも用いられている。また,隔壁形式の集塵は粒子が捕集体に堆積するために,圧力損失が大きく,定期的に堆積粉塵を払い落とす必要がある。
(参考文献)
日本エアロゾル学会(編)『エアロゾル用語集』、集塵方式,210-211、京都大学学術出版会、2004.
日本粉体工業技術協会編,集塵の技術と装置,日刊工業新聞社(1997)
(群馬大学・原野 安土) 2016年5月2日 ★