直線偏光したレーザー光が球形の粒子に照射されると、その後方散乱光の偏光状態は保持される。一方、非球形粒子の場合は、粒子の形状に応じて後方散乱光の偏光面が変化する。この特性を利用して、ミー散乱ライダーでは非球形粒子の検出をすることでできる。直線偏光のレーザー送信し、受信光のうちレーザーの偏光に水平な偏光成分P//と、垂直な偏光成分P⊥を分けて検知する。偏光の垂直成分と水平成分の比
を偏光解消度という。ライダー観測では、氷晶雲や黄砂などの非球形粒子を判別する手法として広く用いられている。硫酸塩粒子などの球形の粒子の偏光解消度は0%に近く、黄砂で10%、巻雲などの氷晶の雲の一部では20%以上の値を示す。
(京都大学・矢吹正教) 2016年5月1日 ★