大気エアロゾルに入射した放射の伝達に影響を与えるエアロゾルの特性で、主に紫外・可視・近赤外 (すなわち太陽放射) 領域のものを光学特性と呼び、Mie散乱計算により導かれる光散乱係数・光吸収係数・光消散係数およびその鉛直積分値である光学的厚さ、単一散乱アルベド、散乱光強度の角度分布である位相関数 (scattering phase function) およびそれを一数値パラメータ化したasymmetry parameterなどが含まれる。光消散係数や光学的厚さの波長依存性を表すオングストローム指数も光学特性に含める場合が多い。光吸収係数に対しても、その波長依存性として"光吸収のオングストローム指数"と言及することがある。後方散乱係数はライダーの分野で使用されるややテクニカルなパラメータであるが、これも広義の光学特性と呼んでよいだろう。粒子構成成分の複素屈折率は、光学特性というより一般的な物性の概念であるが、光学特性を導く関連で言及される場合が多い。
赤外放射 (すなわち長波) 領域での特性も原理的に同じものであるが、慣用的には「光学」特性とは呼ばないことが多いようである。
(産業技術総合研究所・兼保直樹) 2022年4月4日 ★