総浮遊粒子状物質と浮遊粒子状物質

TSP and SPM

 粒子状物質は形状や密度により気流中での挙動が異なるが、気流中で同じ挙動をするものを密度1 g/cm3 の球形粒子(等価粒径)と定義する。これを空気動力学的粒子径(空気動力学径)と呼び、粒子状物質を粒径別に分級する場合、この空気動力学径が用いられる。SPMは「Suspended Particulate Matter」の略で日本語では「浮遊粒子状物質」と呼ばれ、大気環境基準でも示した通り粒径10 μm以下の粒子を指すが、厳密には、空気動力学径として粒径10 µm以上の粒子を100 %カットした粒子状物質と定義される。


 一方、TSPは「Total Suspended Particles」の略で、分級していない粒子状物質全体と定義されることから「総(大気)浮遊粒子状物質」と呼ばれ、全エアロゾルを意味する。つまり、SPMはTSP中に含まれる、ある粒径範囲の粒子を表している。


(埼玉大学・関口和彦)2016年4月28日、2018年2月22日改訂、2022年4月30日微修正   ★