水に溶ける(水溶性)か否かの観点でエアロゾル粒子を区別した呼び方。
例えば、硫酸アンモニウムで構成される粒子は水溶性粒子であり、石英などケイ酸塩鉱物のみで構成される場合には非水溶性粒子と呼ばれる。実際の大気エアロゾル粒子は、水に対して種々の溶解度を持つ化学物質が、1つのエアロゾル粒子中に混在(内部混合)する場合が多いと考えられる。水溶性物質を含むか否かは、雲粒や氷晶の形成、あるいはエアロゾルの吸湿・膨潤に関わる表面反応の観点からも重要である。
乾燥状態におけるエアロゾル粒子の総体積のうち水溶性物質が占める割合(εと呼ばれることが多い)については、Kandler and Schutz(2007)がレビューしている。
水溶性物質の含有率を測定するには、ある粒径区分に含まれる粒子中の平均的な様相を測るバルク的な手法(Eichel et al.1996)や、水透析法と電子顕微鏡を用いた個別粒子解析による手法(Okada 1983)、水透析法と共焦点レーザー顕微鏡を組み合わせた手法(長田ら、2011)などがある。
文献
Eichel,C.,M.Kramer,L.Schutz,and S.Wurzler: The water-soluble fraction of atmospheric aerosol particles and its influence on cloud microphysics, J. Geophys. Res .,101(D23),29499-29510,doi:10.1029/96JD02245, 1996.
Kandler, K. and Schütz, L.: Climatology of the Average Water-Soluble Volume Fraction of Atmospheric Aerosol, Atmos. Res., 83, 77-92, 2007.
Okada, K.: Nature of Individual Hygroscopic Particles in the Urban Atmosphere, J. Meteorol. Soc. Jpn., 61, 727-736, 1983.
長田和雄、川北康介、上田紗也子、水野祐貴:テストダスト粒子に含まれる水溶性物質の体積割合、エアロゾル研究、26(2)、147-151、2011.
(名古屋大学・長田和雄) 2022年4月7日微修正 ★