エアロゾル粒子の大きさを粒径といい、多くの場合、直径を用いる。単位はマイクロメートル(µm)で示されることが多い。例えば、µの通称であるミクロンを用いて、1マイクロメートル以下をサブミクロン領域と呼ぶ。近年はナノ粒子が話題になることに伴い、ナノメートル(nm)で示されることもある。マイクロメートルは、10-6メートル、ナノメートルは10-9メートルと肉眼では見えない小さなものに使われる単位である。
エアロゾル粒子が球形であり、かつ顕微鏡などを用いて直接観察できるのであれば、直径を計測することで幾何学的な粒径を求めることができる。液体のエアロゾル粒子はほぼ球形であるが、固体のエアロゾル粒子は複雑な形状の場合が多い。粒径が直接測定できない場合だけではなく、幾何学的な粒径よりも粒子の挙動や特性を表す粒径の方が望ましい場合などでは、○○相当径を用いることがある。相当径には、幾何形状から算出される幾何相当径と、物理的性状やふるまいが同等である球形粒子の大きさに換算する物理相当径がある。
幾何相当径は、大きな粒子を顕微鏡下で測定する場合に有用である。例えば、最大長や最大幅で表される長径や短径、一定方向の径として求められる定方向径、定方向等分径、定方向最長幅などがある。
物理相当径は、動力学的性質などから間接的に球形粒子としての粒径を求める。Stokesの重力沈降速度式から求められるStokes径、動力学的運動方程式を用い比重1に換算した空気力学径、等価な光散乱現象を呈する球形粒子の光散乱相当径、拡散や静電気などで分級される移動度相当径である。
参考
日本エアロゾル学会(編)・高橋 幹二 (著)、エアロゾル学の基礎、240p、森北出版、2003.
Hinds, W.C. (1982) Aerosol Technology. John Wiley & Sons
Willeke, K. & Baron, P.A. (1993) Aerosol Measurement. Van Nostrand Reinhold.
(放射線医学総合研究所・福津久美子) ★