ダスト

Dust

 もともとある程度の大きさを持った固体物質が,粉砕や研磨,穿孔,爆破など,機械的に破壊されることによって細粒化した固体粒子からなるエアロゾル。日本語では「粉塵」とされることもある。粒子は一般に塊状や薄片状,針状などの不規則な形状を示し,サイズは不均一でサブミクロンから100 µm程度まで広い範囲にわたる(多くは数µm以上)。


 乾燥地域の砂や土壌は岩石が風化によって細粒化したものであり,主に造岩鉱物からなる。これらが強風で巻き上げられるなどして大気中に飛散したものが「鉱物ダスト(Mineral dust)」である。黄砂(Asian dust)はその代表的な例と言える。

カーボンテープ上に採取された黄砂粒子の走査型電子顕微鏡写真。塊状や長柱状,針状の不規則な形状の粒子が多い。

 英語圏における dust の一般的な用法では「ほこり」や「塵」を指し,上に述べた「粉塵」の範疇にないものも含まれる場合がある。「ハウスダスト(House dust)」は住居内に発生するほこりで,ダニ類の排泄物やカビ類の胞子など,生物起源の粒子も含む。

参考文献:

高橋幹二(著),日本エアロゾル学会(編),エアロゾル学の基礎,221p.,森北出版(2003)

Hinds, W.C.,Aerosol Technology: Properties, Behavior and Measurement of Airborne Particles, 2nd Edition, 483p., Wiley-Interscience(1999)

ハナ・ホームズ,小さな塵の大きな不思議,428p.,紀伊國屋書店(2004)

(熊本大学・小島 知子) 2022年7月9日リンク更新