エアロゾルは、空気中に微小な液体粒子(droplet)や固体粒子(particle)が浮遊している分散系、あるいは浮遊している粒子そのものを意味する。後者のように、微粒子そのものを意味する場合には、エアロゾル粒子(aerosol particles)とよぶこともあるが、通常はわざわざ区別せずに用いることが多い。また、大気中(呼吸するような空気)での測定や性状を意識した「大気エアロゾル」と表記することもある(用例は岩坂(2012)に詳しい)。
エアロゾル粒子の性状は、粒径や化学組成、形状、光学的・電気的特性など、多くの因子によって表現される。大きさは分子やイオンとほぼ等しい0.001 μm=1 nm程度から、花粉のような100 μm程度まで約5桁におよぶ。個数濃度としては、大気中では清浄空気の10個 / cm3 程度から発生源近傍の106~1010個 / cm3 程度まで 7~8 桁にわたる。
エアロゾルは、生成過程の違いからダスト(dust)やフューム(fume)、花粉(pollen)、ディーゼル排気微粒子(diesel particulate)、一次粒子(primary aerosol)、二次粒子(secondary aerosol)などと区別されることや、大きさから粗大粒子(coarse partilce)や微小粒子(fine particle)、エイトケン粒子(Aitken particle)など呼ばれることがある。気象現象に関わるものとしてはミスト(mist)や霧(fog)、スモッグ(smog)、煙霧(haze)などがある。
エアロゾルは、理学系・工学系・医学系など多くのエアロゾルの関連分野にまたがって研究・利用されている。
参考文献
日本エアロゾル学会(編)、エアロゾルとは、エアロゾル用語集、20-21、京都大学学術出版会、2004.
ウィリアム C. ハインズ著、早川一也監訳、エアロゾルテクノロジー、412p、井上書院、1985年
岩坂泰信、エアロゾル(気象のABC)、天気、59巻、1079-1082, 2012
(名古屋大学・長田和雄)2022年4月7日微修正 ★