噴霧法によるエアロゾル発生方法には、不揮発性の液体(油脂など)を噴霧して液滴粒子として気中に分散する方法(液滴エアロゾル粒子の発生方法)と、粒子や溶質を含んだ揮発性・蒸発性の液体(水、アルコールなど)を気中に噴霧したのち、液滴から液体分を飛ばして(液滴を乾燥させて)固化させる方法(固体エアロゾル粒子の発生方法)がある。
後者の方法はさらに二つに大別できる。一つ目は、噴霧乾燥法と呼ばれる方法であり、エアロゾル粒子化したい粒子そのものを液体中に分散して噴霧すると、液滴の乾燥後には粒子のみが気中分散することとなる。これは、サイズがよく規定された標準粒子から標準エアロゾル粒子を発生させる代表的な方法である。また、エアロゾル粒子としたい粒子の材質が液体に可溶の場合は、溶液を噴霧してできた液滴を乾燥した後には、液滴の大きさと溶液濃度を反映したサイズ、サイズ分布を有する固体エアロゾル粒子が生じる。二つ目の方法は、反応性物質を溶解させた液を噴霧し、液滴内で粒子を反応析出させつつ乾燥させるものである。反応を起こすためには、液滴の加熱や、燃焼炎ないしプラズマ場への導入が行われる。得られるエアロゾル粒子の性状は、液滴の大きさ等のみならず、析出反応の速度や析出した粒子の液滴中の挙動によっても支配される。
噴霧の手段としては、高速ないし加圧気流による液の微粒化(ネブライザー、アトマイザー、二流体ノズルなど)、超音波霧化、エレクトロスプレー、振動オリフィス型分散装置などがあり、それぞれ液滴の大きさや発生量に違いがあるが、実用的には、前二者が多く用いられている。
(広島大学・島田学) 2016年5月2日 ★