ドラッグデリバリー

Drug delivery

 ドラッグデリバリーは、体内の特定の場所あるいは一定期間の両方において局所的に薬物送達を行うことで、バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)を最大化させるための手法である。ドラッグデリバリーは、薬物の副作用を減少させ、それに伴って消費量および治療費を減少させることが期待される。これは、ナノエンジニアリングデバイスによる分子標的化によって達成される可能性があり、ナノテクノロジーは、ナノ粒子を用いて特定の細胞に薬物を送達する可能性を提供してきた。医療技術にナノスケールのデバイスを使用する利点は、より小型のデバイスは侵襲性が低く、体内に埋め込むことが可能なため、生化学的な反応時間を飛躍的に短縮できることである。このようなナノデバイスを用いたドラッグデリバリーは、一般的なドラッグデリバリーよりも高速かつ高感度である。ナノメディシンによるドラッグデリバリーの有効性は主に、①効率的な薬物のカプセル化、②体内標的部位への的確な薬物送達、③迅速な薬物放出の成功に基づいている。


(産業医科大学 東 秀憲) 2022年2月7日  ★