二次生成を含む大気汚染物質の低減や発生源対策には、化学輸送モデルが適した手法であると考えられている。化学輸送モデルの入力データのうち、最も重要なものの一つが大気汚染物質の排出量データ、すなわち排出インベントリである。
インベントリは日本語に直訳すると「目録」あるいは「一覧表」であり、化学輸送モデル以外に、さまざまな発生源からの排出実態の把握、主要な排出源の特定や、優先すべき排出量削減区分などを明らかにする役目も持つ。
化学輸送モデル用の大気汚染物質の排出量インベントリは、気象条件の変化や、観測値と比較した検証、都市の大気汚染現象に関わる化学反応速度、すなわち,数秒から数時間の単位、といったことを念頭に入れると,1時間単位の解像度が望まれる.また空間的にも,排出量の実態を反映したより細かい地域分布が必要となる。
国としての大気汚染物質の排出インベントリには、環境省のPM2.5 等大気汚染物質排出インベントリがある。
(日本自動車研究所・森川多津子) 2016年5月2日作成、2022年5月8日更新 ★