空気清浄機は,室内に浮遊している汚染物質を機器に吸引し,除去して,室内に清浄な空気を供給するものである。室内の汚染物質の除去には,換気を行うことがあるが,室内の空気を外気と入れ替えるため,空調時にはエネルギーロスが大きい。空気清浄機は,室内の空気を清浄化して,そのまま室内に戻すので,そのロスを少なくできるのが特徴である。空気清浄機が除去する汚染物質は,粒子状物質,花粉,浮遊微生物,ガス状汚染物質,臭気など多岐にわたる。汚染物質の捕集には,エアフィルタ,ケミカルフィルタなどに加え,その他にも各汚染物質を捕集できるメカニズムが提案されている。全ての物質を効率よく除去することが困難な場合があり,換気との併用により室内空気質を維持することも重要である。
空気清浄機の性能試験の規格については,(一社)日本電機工業会によるJEM1467家庭用空気清浄機があり,集じん性能試験,脱臭性能試験が規定されており,その他にもPM2.5 除去性能,ウイルス除去性能が示されている。また日本工業規格においても,JIS C 9615空気清浄機が制定されているが,対象とする汚染物質がたばこ煙であることなどから,現在国際標準規格ISOおよび国際電気標準会議IECにおいて,現状に即した規格作成が行われている。
(東京工業大学・鍵 直樹) 2016年5月13日作成、2022年5月4日更新 ★