均一反応とは同一の相で起こる反応であり、不均一反応は異なる相が関与する反応である。均一反応としては、気相中あるいは液相中での反応が良く知られている。不均一反応としては、南極でのオゾンホール生成に関与する、極成層圏雲上での塩素の生成などがあげられる。図1にガスとエアロゾルが関与する不均一反応を模式的に示した。気体分子が拡散し、エアロゾル表面や、気液界面物質移動を経てエアロゾル内部で反応する場合を示している。
不均一反応の大気組成への影響を考える場合、気相での物質の拡散に対する界面での物質移動や表面での反応の速さが重要になる。気相からエアロゾル表面への物質移動が十分速ければ、界面物質移動律速や表面反応律速になる。
気液界面における物質移動速度は、適応係数(accommodation coefficient)や取り込み係数(uptake coefficient)を用いて表すことができる。適応係数はエアロゾル表面に衝突した分子のうち、液相に取り込まれる分子の割合を表す。取り込み係数はエアロゾル表面に衝突した分子のうち、正味液相に取り込まれる分子の割合を表し、液相からの放出も考慮に入れている。10μmの液体エアロゾルでは取り込み係数が0.01以下ならば、界面物質移動が律速となる。
出典:日本エアロゾル学会(編)、『エアロゾル用語集』、70-71、京都大学学術出版会、2004.
図1 エアロゾルが関与する不均一反応の模式図。A、B、Cは異なる分子を表す。
(国立環境研究所 高見昭憲) 2022年7月9日リンク更新 ★