水中に安定に分散・懸濁したラテックス(latex)状態のポリスチレン(polystyrene)系の粒子。粉体状態で接触・凝集すると再解砕が困難な微小粒子は,通常,このラテックスの状態で供給されることが多い。また,乳化重合等により合成されるPSL粒子は,粒径の均一性と真球度に優れることから,精確な値づけを施した上で粒径標準として計測器の校正・試験に利用されている(JIS Z 8901,日方ら(2007))。
PSL粒子を粒径標準としてエアロゾル化する際には,凝集粒子の発生や蒸発残渣の影響を最小限に抑えなくてはならない。これには,超純水による十分な希釈や十分に小さな液滴を噴霧できる発生器の使用等が有効である。また,分散剤を多く含む場合は,エアロゾル化の前に透析や遠心分離等により分散剤を除去することが望ましい。さらに,表1に示すようにポリスチレンは比較的安定な素材ではあるが,粒径標準としてはJIS Z 8901で規定されているように冷暗所保存や汚染防止等に注意を払う必要がある。
引用文献
JIS Z 8901: 2006 試験用粉体及び試験用粒子
日方幹雄,佐久間都,深井芳和、ポリスチレン系標準粒子の製造とその利用,エアロゾル研究 22, 282-288, 2007.
(産業技術総合研究所・高畑圭二) 2016年8月3日、2022年5月25日更新 ★