雲は,大気中に浮かぶ100 μm以下の微小な水や氷の粒子(雲粒子)から構成され,目に見える集合体として定義される。2,3 μmから100 μmの微水滴は雲粒と呼ばれ,氷の粒子は氷晶と呼ばれる。雲粒サイズの上限値は恣意的なもので,雲粒同士の衝突併合による雨滴の生成が顕在化する40~50 μmを雲粒サイズの上限値とする考え方もある。雲粒は吸湿性粒子(雲凝結核)の上に水蒸気が凝結してできたものであるが,活性化して雲粒とならない小粒径で吸湿性の低い粒子が膨潤した2,3 μm以下のhaze dropletも存在する。
雲粒子が成長して,有意な落下速度を持ち,雲底から落ちてくるようになったものを降水粒子と呼ぶ。降水粒子も水と氷の粒子に分けられる。100 μm以上の水滴を雨滴と呼ぶ(100~500 μmの水滴を霧雨と呼ぶこともある)。雲粒の数濃度は一般的に数10個/cm3から数1,000個/cm3で,落下速度は0.1 mm/secから数 cm/secの範囲にある。
参考図書
Pruppacher,H.R. & J.D. Klett, Microphysics of Clouds and Precipitation , Kluwer Academic, 954p, 1997
Rogers,R.R. & M.K. Yau, A Short Course in Cloud Physics, Butterworth-Heinemann, 304p, 1989
村上正隆,第I 編 第5 章「雲と降水の物理学」, 気象ハンドブック(第3 版), 朝倉書店, 2005
村上正隆,第4 章「雲と降水」, 新教養の気象学、朝倉書店, 1998
(気象研究所・村上正隆) 2016年7月5日 ★