ただし、大気中のオゾンが粒子の酸化反応に寄与することからも、広い意味ではオゾンの前駆体も関係が深いといえる。たとえば、そのままでは粒子にはならない分子量の小さいVOCでも、オゾン生成能の高いものは間接的にPM2.5 生成に関与しているといえる。
前駆体はPM2.5 の原因物質であるため、化学輸送モデルでPM2.5 濃度を推計する場合には、それらの前駆体が「何(発生源)から、どれだけ(量)、いつ(季節・時刻)、どこで(地域)、どんな物質として,大気に放出されているか」という情報が必要である。またVOCについては個別の成分ごとに大気中の反応性が異なるため、成分ごとの情報も必要である。このような前駆体や、一次粒子として発生するPM2.5の排出量を整理したものを排出インベントリという。
(日本自動車研究所・森川多津子) 2016年5月2日作成、2022年5月8日更新 ★