粒子周囲の分子との衝突により粒子の受け取る運動量が向きによって異なる場合、より大きい運動量を受け取った方向に粒子が移動する。この現象を粒子の泳動と言う。熱泳動、光泳動、拡散泳動がある。
熱泳動は、粒子周囲の気体に温度勾配が存在する場合に起こる。粒子は低温側の気体分子よりも大きな運動量を高温側の気体分子より与えられ、その結果、粒子は高温側から低温側へ移動する。これが、熱泳動であり、粒子の低温壁面への沈着促進などに関係する。
光泳動は、粒子にレーザー光のような強い光が一方向から照射された時、粒子および周囲の気体の温度に分布が生じ、その結果熱泳動と同じ効果で粒子が移動する現象である。
拡散泳動は、粒子が不均一な混合気体中に浮遊する場合に起こる。不均一な混合気体中では、それぞれの気体の濃度勾配によって気体分子が相互拡散を起こす。このような場合、粒子は分子量の大きな気体分子からより大きな運動量を受け取ることになり、その結果、粒子は重い気体の拡散する方向へ移動する。この現象が拡散泳動である。
(関西大学・岡田芳樹) 2022年4月20日更新 ★