粒子同士が衝突し付着する現象を凝集と呼ぶ。気相中における凝集現象の場合、粒子のブラウン運動による凝集が代表的である。凝集によって形成された粒子群を凝集体もしくは凝集粒子と呼ぶのに対し、その凝集体を構成する小粒子を一次粒子と呼んで区別している。
ある一定な個数濃度で存在する粒子が凝集する速度は、粒子同士が衝突する頻度と衝突した粒子が付着する確率によって決まる。衝突頻度は、単位時間当たりの衝突数であり、ブラウン凝集の場合、衝突頻度は粒子ブラウン拡散係数と粒子径の積に依存する1)。
クヌーセン数Kn<0.01の連続領域では、粒子ブラウン拡散係数は粒子径の-1乗にほぼ比例するため、ブラウン拡散係数と粒子径の積に依存する衝突頻度は粒子径に依存せずほぼ一定である。0.01≦Kn≦10の遷移領域では、ブラウン拡散係数は粒子径の-2乗にほぼ比例するため、衝突頻度は粒子径の-1乗にほぼ比例する。したがって、粒子径が小さくなるほど、衝突頻度は増加する。そして、Kn>10の自由分子領域では、粒子の衝突頻度は、気体分子同士の衝突に類似した考え方に従って、粒子の断面積と粒子熱運動速度の積に依存する。粒子断面積は粒子径の2乗に、粒子熱運動速度は粒子径の-1.5乗に比例するので、衝突頻度は、粒子径の0.5乗にほぼ比例する。したがって、粒子径が小さくなるほど、衝突頻度は減少する。
以上の粒子径依存性から、ブラウン凝集においては、Kn数が10程度を示す粒子において凝集速度が最大となる傾向を示すことがわかる。
参考文献
1) 奥山喜久夫、増田弘昭、諸岡成治(共著)、新体系化学工学 微粒子工学、オーム社 、1992.
(関西大学・岡田芳樹) 2022年4月20日更新 ★