クヌーセン数Knは、次式で定義される無次元数である。
Kn = 2λg /dp
ここに、λgは気体分子の平均自由行程、dpは粒子径である。気体分子の平均自由行程λgは分子間の距離に対応している。したがって、クヌーセン数Knは粒子の周りの気体分子の希薄度を表している。クヌーセン数Knが大きいほど、粒子の周りに存在する気体分子の数が少ないことを意味する。
クヌーセン数Kn<0.01では、粒子の周りに非常に多い数の気体分子が存在するので、粒子の周りの気体は、離散的な分子で構成されているけれども近似的に連続体であるとみなしてよく、連続領域と呼ばれる。一方、Kn>10では、粒子の周りに気体分子が離散的に存在するため、気体分子の不連続な衝突現象が粒子の運動を支配し、自由分子領域と呼ばれる。中間の0.01≦Kn≦10は、遷移領域と呼ばれる。
1気圧20℃の空気の平均自由行程は約65 nmであるので、その空気中に浮かぶ粒子径約10 µm以上の粒子が連続領域に、粒子径約10 nm以下の粒子が自由分子領域に対応する。
(関西大学・岡田芳樹) 2022年4月20日更新 ★