エアロゾル、水蒸気、オゾン、二酸化炭素などの大気物質による吸収・散乱に起因した日射の減衰を表す指標。大気混濁係数は、直達日射計測から導出され、値が大きいほど大気物質による光減衰の影響が大きいことを示す。
4.4光散乱「光学的厚さ」のLambert-Beerの法則を示す式(2)のうち、光学的厚さτを、空気分子τmolecule、オゾン・二酸化炭素等の吸収気体τgas、エアロゾルτaerosolに分解すると次式のように表される。
ここで、bは現地気圧、b0は標準気圧、Tmoleculeは標準大気のレイリー散乱の光学的厚さを示す。また、各τは全太陽放射の波長についての平均値とする。大気混濁係数は、大気分子のレイリー散乱による光学的厚さと実際の大気の光学的厚さとの比としてLinkeの混濁係数TLが良く用いられている。 また、Tmoleculeを標準気圧に標準化したものがFeussner – Duboisの混濁係数TFDである。両者には次の関係がある。
ここで、T 0,moleculeは、標準気圧におけるRayleigh散乱の光学的厚さである。
参考文献
中村圭三, 三谷雅肆: 関東地方における大気混濁係数の推移について:全天日射量からの評価の試み, 天気 58(10), 855-864, 2011.
(京都大学・矢吹正教) 2016年5月1日 ★