2010-02
文:玉木英明
2010年 2月号 節分に考える・どうして豆をまくの?太巻き食べるの?
節分の由来って何?
ギャル: 鬼は外!鬼は外!
鬼: いたた!いたい!いたい!ちょっとやめてんか!
ギャル: 悪い鬼のくせに、ありえないー!今日は節分なのよ!思い知れ!
鬼: 待って待って!豆ぶつけるのちょっとやめて、ぼくの言うことも聞いてん
か!
ギャル: 節分といえば豆まきよ。鬼がいったい何の用なの?ガチきもいー!(すご
く気持ち悪い)
鬼: 節分、節分って、おねえちゃん、あんた節分の意味知っとるの?
ギャル: マジむかつく!節分は鬼たいじの日でしょ!
鬼: あのなぁ、「節分」いうのは本来、季節の移り変わる時のことで、立春・
立夏・立秋・立冬の前日を指しているんや。特に立春が1年の初めにあるか
ら、「節分」といえば春の節分を指すものになったんやよ。
ギャル: 初知りっ!(初めて知った)じゃあ、節分の翌日は、「春」になるわけじ
ゃん。
鬼: そうやがな。そやから、それまでの邪気(じゃき)とか疫癘(えきれい)
を追い払う意味で、豆をまくわけや。「鬼」そのものに恨みをぶつけんと
いてほしいで。
ギャル: もうしわけ~!(申し訳ない)。邪気(じゃき)や疫癘(えきれい)をみ
んな「鬼」って言葉で片づけるのは、よく考えたら鬼がかわいそうね。
鬼: やっとわかってくれましたか。いや、うれしいわ・・・ほんま・・・。
ギャル: めっちゃごめん!ごめんていうとるやろ・・泣かんといてな、鬼ちゃん。
鬼: その、「鬼ちゃん」いうのはちょっとはずかしいなぁ。
ギャル: ええやないの、鬼ちゃん。そやけど、「鬼は外!」いうて豆ぶつけられる
のなんて、いややね。
なぜ、豆をまくの?鬼は外!の鬼って何?
鬼: もともとは、「鬼門(きもん)」という東北の方位があって、そこの邪気
を祓うことで、春が無事に迎えられると考えられてたんや。
ギャル: 東北の方位が、どうして「鬼門」なの?がっつり教えて!
鬼: 昔の中国の道教の影響で、冥府(めいふ)の神が住むといわれていた山が
北東にあったから、冥府→北東→鬼門といわれてるんや。
ギャル: マジ~?「鬼門」があるのは、方位だけなの?
鬼: 実は、鬼門の方角は十二支では、丑(うし)と寅(とら)の方角にあたってて
ここで、丑は12月を、寅は1月をさすから、ちょうど12月から1月にかけて
の季節の節目にも「鬼門」があるんや。
ギャル: ウソ~! でも、鬼門と豆とが結びつかへんやないの?
鬼: 「陰陽五行」いう考え方があるんや。五行とは、自然の道理を木、火、土
金、水の五元素で表してる。この「金」というのが、硬いとか、厄病とい
う意味なんや。
ギャル: やだ~!「金」っていったら、なんやら高価なものを想像するやないの!
鬼: わかる、わかる。ほんで、この「金」の作用をなくすのが、五行でいう
「火」なんや。
ギャル: つーか、金も火も豆に関係ないじゃん!
鬼: 大豆は固いから「金」にあたり、これがすなわち厄病を意味しとるんや。
これを火で煎る(火が金を溶かすという火剋金の作用)と同時に、豆まき
で外や内にこの大豆がばらまかれて結局、人間が食べてしまうことにより
疫病を退治することになるんや。
ギャル: パチンコの玉の方が威力がありそうじゃん!
鬼: あかん、あかん。鬼の目を打つのでまめ(魔目)を使うのやという人もお
るし、また、魔滅にも通じるから、豆でないとあかんという人かておるん
や。
ギャル: はっきし言って、チョーすごーい。鬼ちゃん、もの知りじゃん。
鬼: いや、照れまんなあ。おおきに、ありがと。豆をまく事で、五行の「木」
を助けることになり、「春の気を助ける」から「春を呼ぶ行事」でもある
んや。
太巻き寿司をたべるのは?
ギャル: ねえねえねえ、節分に巻きずしをそのまま切らずに、西やったか北やった
かの方向見てかじるのは、なんでなの?
鬼: 「巻き寿司のまるかぶり」を節分のイベントとして始めたのは、実は大阪
なんや。
ギャル: どんびきぃー!(すごく引いてしまう)大阪の人たちは、おもしろいこと
してるじゃん!
鬼: もともとは、歳徳神(としとくじん))いう縁起のええ神さんのいてる方
向を、恵方(えほう)いうてそっちの方向が大吉やいうことは、あったん
や。ただ、それに巻き寿司たべて…いうのは、あとでくっつけたんや。
ギャル: ???どういうこと?
鬼: 実は、あれは大阪の海苔問屋の組合が、道頓堀で海苔の販売促進のために
やってた行事を、マスコミがとりあげて、ほんで全国の食品メーカーがそ
れに便乗して全国で流行るようになったんや。
ギャル: たくましい商魂じゃん! おつかれサマンサタバサ。
鬼: いちいち、いろんな言葉をつかわなあかんから、あんたも大変やなぁ。
ギャル: にゃんにゃん! そのとおり、ほんま、ギャル言葉も使うの疲れてきた。
鬼: 太い巻き寿司をラッパを吹くみたいにくわえて、恵方に向かって、誰とも
しゃべらんと、丸ごと食べたら、1年間ええことがあるんやよ。
ギャル: ヘン…じゃない…の…?
鬼: そやな、ちょっと間のぬけた感じやなあ。ただ、巻き寿司を食べるのは
「福を巻き込む」から、まるごと食べるのは「縁を切らないように包丁を
入れない」ということ、さらに寿司の具は七福神にちなんで、七種類なん
や。ちゃんと意味があるやろ?
ギャル: マジっすかぁ?(そうなんですか。)それで、どっちの方向をむけばいい
の?
鬼: 実は、恵方いうのは、その年の十干と西暦年の1の位の数字によってちが
うのや。
ギャル: 豆まきしたら、いくつ豆をたべたらいいの?
鬼: 自分の年齢と同じだけか、もしくは1つ多く食べるんやよ。
ギャル: チョーびみょー!(すごく微妙ですね) 何で1つ多く食べるのよ?
鬼: 「年とり豆」いうて、1つ多く食べると体が丈夫になって、病気にならん
のや。
ギャル: なーなー、鬼ちゃん何歳なの?
鬼: わし…か? わしは…ずーっと生きとるよってに… 50000歳くらいやろか。
ギャル: うひょー! 豆たべきれないじゃん!
鬼: そんな時は、「福茶(ふくちゃ)」いうて年の数の豆に熱いお茶を注いで
飲むんや。食べるのと同じだけ御利益があるんやで。
門守りと「やいかがし」
鬼: わしな、実は嫌いなものがあるんや。
ギャル: おっと!マジでー?それは何なの?
鬼: それはな、「やいかがし」いうて、柊(ひいらぎ)の枝に焼いた鰯(いわ
し)の頭を刺したものなんや。あれが門やら戸口やらにあると、ぞっとし
て近寄れへんのや。
ギャル: きゃははは!鬼ちゃんカワユイ~!
鬼: 柊(ひいらぎ)のトゲがわしら鬼の目をさすし、鰯のにおいで頭がくらく
らするんや。
ギャル: 鬼ちゃんが、鰯が嫌いやなんて知らなかった!
鬼: 「鰯の頭も信心から」ということわざは、この風習から生まれたものなん
や。
ギャル: そんなにもの知りやったら、鬼なんかしてなくてもいいじゃないの?
鬼: 最近は、景気がわるくてなあ、人手不足、いや、鬼手不足なんや。