文:玉木英明
2009年12月号 2000年前のキリスト様を思う!賛美歌うたってお祝いしよう!
外国人毎年やってくるクリスマス。町はジングルベルにあふれ、デパートも
おもちゃ屋さんもサンタクロース一色だ。でも、よく考えてみると、サンタク
ロースって誰なんだろう。どうして赤い服を着ているんだろう。今月はクリス
マスを徹底的に調べてみよう!
サンタクロースってだれなの?
七面鳥 :キッキリッキー!キッキリッキー!ほんと、いそがしい季節だわ!
トナカイ:なあ、ちょっとそこの「トリ」君、ボクの鼻の上にとまって大声で
叫ばんといてくれへんかいな。
七面鳥 :ごめんあそばせ!でも、私のことを「トリ」君なんて変な呼び方しな
いでいただきたいわ。私は七面鳥の「ミセス・ターキー」よ。あなた
のこの赤いお鼻、とてもとまり心地がいいのよ。
トナカイ:わかったわかった、ミセス・タヌキーさん、何でもええからそこから、
はよ降りてえな。
七面鳥 :ち・が・うっ!誰がタヌキやねん。「ターキー」やていうてるやろ!
トナカイ:なんや、あんたも関西人かいな。
七面鳥 :私は、12月は忙しいんやから、あんまり話しかけんといて!
トナカイ:ボクかて、サンタクロース乗せてあちこち行かなあかんから大変なんや
けど…。
七面鳥 :サンタクロースって、キリスト様のこと?
トナカイ:ちがう、ちがう。みんなよう間違えるんやけど、サンタクロースいうのは、
「セントニコラス(St.Nicholas)」という聖人のなまえなんや。
七面鳥 :「セイジン」てあの酒飲んで暴れてもええ20歳のことでっか?
トナカイ:あのなぁ、それは「成人」やがな。
七面鳥 :知ってますて…冗談やがな…おこらんといて…。ほんで、その聖人いうのは
何するヒトなんでっか?
トナカイ:一言でいうたら、神様に近いかたで、いろんな奇跡を起こすことができる
人たちなんや。「サンタクロース」と「セントニコラス」を続けて3回
いうてみ。おんなじ名前や、いうことわかるやろ?
クリスマスとキリスト様、どういう関係?
七面鳥 :わかった!わかりましたで!「クリスマス」いうのは、ケーキ食べて
「ゆっくりすます」から「ユッ!クリスマス」なんやね!
トナカイ:なんぎなヒト、いやトリやなぁ。「クリスマス」いうのは、クライスト・
マス(Christ mass)、簡単にいうたらキリストのミサのことなんや。
七面鳥 :ミサ…ちゃん?倉井さんとこ…の?
トナカイ:「ミサ」いうたら、キリストの教会でやってるお祈りの儀式や。みんなで
日曜日に集まって「アーメン」ってやってるやつやんか。
七面鳥 :そ、そうやった、そうやった、いやちょっと忘れてただけや。
トナカイ:お店に「X'mas」て書いてあるやろ?このXこそまさにキリストをギリシャ
語でXPISTOS(クリストス)いうときの頭文字や。
12月25日!楽しみなクリスマス!
七面鳥 :ちょっと恥ずかしいけど、もう一つ聞いてもよろしおますか?
トナカイ:七面鳥さん、あんたクリスマスの食卓にいつも登場する割には、
あんまり知りまへんなぁ。
七面鳥 :何で12月25日にクリスマスのお祝いしますのや?
トナカイ:12月25日は、キリスト様の生まれた日や、いうことになってるからや。
七面鳥 :「いうことになってる」いうのは、なんや奥歯にもののはさまったような
いいかたやなあ。
トナカイ:実は、この日がキリスト様の生まれた日なんかどうかは、はっきりして
ないんや。ただ、もともと12月21日ころは冬至で一年中で最も昼の
時間が短いやろ?そやから、もともと12月25日を太陽の祭の日として
お祝いしてた。ほんで、この日をキリストの誕生日としたんや。
七面鳥 :ほな、キリストが生まれてから今年は2009年目いうのは、ほんまなん
でっしゃろ?
トナカイ:これも、後で学者たちが研究したところ、どうも紀元前4年頃にキリストは
生まれたらしいんや。
キリストは馬小屋で生まれた!
七面鳥 :「キリストさんは馬小屋で生まれた」いう話やけど、ご家族みなさんで
馬小屋にお住まいやったんですか?
トナカイ:いや、ちがうんや。2000年前、ローマ帝国が「すべての人民はその人の
出身地へもどり、戸籍をとりなおせ」という命令を出したんや。キリストの
父母であるマリアさんとヨゼフさんが、ヨゼフさんの出身地である
ベツレヘムまで戻ることになったんや。ただ、ベツレヘムに着いた2人には
泊まる宿屋もなくて、あまりに気の毒に思った村人が、ヨゼフと身重の
マリアさんに、馬小屋を貸してくれたんや。
七面鳥 :そうか、その馬小屋の中で生まれたんが、キリスト様やったんやなあ。
トナカイ:そうやがな。そやからクリスマスの歌には、ベツレヘムとか馬小屋とか
出てくるんや。
プレゼントを持ってきてくれるのは
七面鳥 :サンタクロースさんは、えらいなぁ。12月25日に世界中を飛び回って、
プレゼントを配り回りはるわけや。
トナカイ:いや、イギリスでは「サンタクロース」と違うて、「ファーザー・クリス
マス」がプレゼントを配るんや。ロンドンの、トラファルガー広場には、
毎年ノルウェーから贈られたもみの木が飾り付けられてエリザベス女王の
テレビのメッセージを聞くんや。26日は、ボックスデーいうて、新聞配達の
人やゴミ収集の人たちに小さなプレゼントをするのや。イギリスの人たちは、
なかなかイキなこと考えはるなあ。
七面鳥 :そうやなあ。心あたたまる話…や…ない…ですか、うっうっ。
トナカイ:おいおい、泣きないな。「泣き虫くん」いうて呼びまっせ。
七面鳥 :いや、あんまりええ話やから。ほんで、その他の国はどないなっとるん
でっか?
トナカイ:フランスでは「ペール・ノエル」がプレゼントを持ってくるし、ドイツや
オーストリアのクリスマスの期間が40日もあって、めっちゃ長いんや。
ちなみに、ドイツでは「クリスト・キント」がプレゼントを届けるんでっせ。
七面鳥 :あんたもの知りやなぁ。いやぁ、なんや惚れなおしましたわ。
トナカイ:トリに惚れられてもなぁ…。
七面鳥 :世界中の人が大好きなクリスマスなんやね。
トナカイ:いや、そうでもないんや。過去には、「プロテスタント」いうキリストの
新教では、「クリスマスの根拠が不明や」いうて、この日のお祝いに反対
してたし、同じキリスト教でも「長老派教会」の人らも、クリスマスの
パーティーや娯楽が人々の堕落の原因になる、いうて反対したんや。
七面鳥 :サンタさんのプレゼント、いらんのやろか?
トナカイ:アメリカのマサチューセッツ州では、クリスマスのお祝いを法律で禁止
して、違反したら罰金払わせた、いうゴツい例もあるくらいや。
ゴルゴダの丘、しゃれこうべ(頭蓋骨)の丘
七面鳥 :ちょっと、このさい難しいこと聞いてもよろしおますか?
トナカイ:なんじゃらホイ?
七面鳥 :キリスト様は、どこで十字架にかけられはったんですんや?
トナカイ:ベツレヘムの郊外の「ゴルゴダの丘」いうとこや。
七面鳥 :なんや、気味の悪い名前の丘やなあ。
トナカイ:そうなんや。実は、ゴルゴダいうのは、しゃれこうべ(頭がいこつ)いう
意味で、丘自体の形が、頭骸骨の形の処刑場なんや。写真見せてあげよか。
たぶんここやろ、いわれてる。
七面鳥 :ゴルゴ13いう漫画があった、いうておじいちゃんに聞きましたで。
トナカイ:あんた、古い漫画知ってますなあ。あんたのいうとおり、そのゴルゴ13も
この処刑場の名前に由来したんでっせ。
七面鳥 :もう一つマニアックなこと聞いてもよろしおますか?
トナカイ:このさい、何でも聞いてんか。
七面鳥 :「ユダ」いうのは裏切り者やいうて聞いたことあるんやけど、誰ですのや?
トナカイ:鳥仲間でえらいアカデミックな話してますのやな。あのな、「ユダ」いう
人は、キリストの12人の弟子のうちの一人やった。お金ほしさに、キリスト
をさがしまわってたローマ帝国の軍隊にキリストさんの居場所を教えたんや。 そやからキリスト様は十字架にかけられた。ユダは、下の「最後の晩餐」の
壁画で左から4番目の人や
七面鳥 :ひ、ひどいことを!
トナカイ:そやけどな、キリスト様はやがてユダが裏切ることも知ってた。
七面鳥 :な、なんでや?どうしてですのや?
トナカイ:そやかて、キリスト様は神様やから。