2009-09

文:玉木英明

2009年 9月号 地球温暖化!発展途上国ほど大きい、そのダメージとは?

地球温暖化の原因は?

にわとり:コゲコッコ!コゲコッコ!

うし :なんや、変な鳴き方するにわとりやなぁ。

にわとり:全く、暑くて、おつむが焦げそうよ!こんなに暑いのにエアコンの

ない鶏舎なんて、信じられないわ!ちょっと!そこの大きくて黒い

生物!何とかしてよ!

うし :おやおや「生物」やいわれたで。かなわんなぁ、もーぅ!

にわとり:本当にトサカにきちゃうわ。私がどうしてこんなところでエサを

食べなきゃならないのよ!私、こう見えてもケッコウ繊細なのよ。

生活環境をチキンと考えてほしいものだわ!

うし :おもしろいことをいうヒト、いや、鳥やなぁ。

にわとり:だいたい、いろんな国の政府が、二酸化炭素をがんばって減らして

るのに、こんなに暑いのは信じられないわ。!

うし :二酸化炭素は、ふえることはあっても減らへんでぇ。

にわとり:うそコケッ!この暑さで頭がどうかしてきたんじゃないの?今、

世界中で温暖化のことを会議してるんだから。どんどん二酸化炭素

          は減ってきてるにきまってるじゃないの?!

うし :いや、二酸化炭素は増え続けてるんや。今、会議をしてるのは、

二酸化炭素が増え続ける速度を、どうやってこれから小さくして

いくかを議論してるんや。

にわとり:え?・・あの・・・二酸化炭素は、まだ増え続けてますのかいな?

うし :ほうら、不安と心配で、関西弁になってきたで。

先進国と途上国、どっちが先に?

にわとり:に、に、二酸化炭素は増え続けてますのやな?

うし :そう。それもえらい勢いで。「二酸化炭素の排出量を減らそう」

という話に応じない国かて、ある。

にわとり:どこや!どこや!それはどこの国や?!

うし :あのなぁ、つばとばさんといて。中国とインドや。

にわとり:そんな国、フライドチキンにして食べてしもたれ!スープにして

飲んでしもたれ!

うし :ガラの悪いにわとりやな。

にわとり:そやかて、中国とかインドいうたら、最近、特に工業化がすすんでる

国やないですか?!

うし :そう、二酸化炭素の排出量でいえば、中国は現在世界第1位、

インドも第5位や。

にわとり:なんで・・・なんでや・・・。なんでそんな国が二酸化炭素を出す量を

少なくしょうと思わんのや・・・なぁ・・・うしちゃん

うし :泣きないな。ほんで「うしちゃん」いうのもちょっと・・・。

にわとり:なんで、なんでアメリカや日本、ヨーロッパの先進国は何にも

言わへんの?!

うし :しつこく「排出量を減らせ!」言うてる。

にわとり:インドは・・・中国は・・・何ていうてきてますんや?

うし :一貫して「いやや!」というてる。インドは、今年の7月にも米国の

国務長官のヒラリー・クリントンさんに「絶対減らさへんからな!」

というてきた。

にわとり:何ちゅうやっちゃ!むかつく国やな!日本やアメリカを見習わな

あかんやんか!

うし :あのな、よう考えてみいや。今まで何十年も日本やアメリカはもの

すごい量の二酸化炭素を出し続けて、現在の先進国の地位を確立

してきたんや。自分とこの国だけ発展したからいうて、これから

発展しようと思てる国に「もう二酸化炭素、出さんとこ」いうても、

聞いてもらえへんのはあたりまえやろ。

にわとり:そら・・・まぁ・・・筋はとおってるわなぁ。

うし :中国やインドは「今まで石油を燃やしたおして、発展した国こそ、

二酸化炭素の排出を遠慮せい」言うてるんや。

にわとり:インドや中国の人が、燃費の悪い大型車を乗り回しているアメリカ

人や日本人に「二酸化炭素を出すな」言われて、文句言いたなる

気持ち、なんや分かりますなあ。

誰が最初に困る?

にわとり:よし、わかった。ようわかりましたでぇ。中国の人、インドの人、

おこりなはれ。しっかり石油を燃やして産業の発展させたらよろし

やないか。困るのは地球上の人はみんないっしょや。

うし :それが・・・あかんのや。

にわとり:あのなぁ、うちが鳥やおもて、ええかげんなこと言うたらあきま

へんで!空気に国境はありまへん!いっぺん、世界中が温暖化で

困ったらよろしのや!やってまえ!いけぇ!

うし :なんぎなヒトやな。いや、トリやな。ほんで、つば飛ばしないな。

にわとり:そやかて、困るのはみんないっしょやないか。

うし :アメリカや日本、ヨーロッパは、緯度の高いところにあるから、

温暖化の影響を受けにくい。むしろ、赤道に近いインドや中国の

方がその影響が深刻に現れるんや。インドと中国だけやない。

貧しい国ほど最初に気候変動によって熱波や干ばつ、洪水、高波で

むちゃくちゃになっていくんや。

ヒマラヤの氷河が消える!

にわとり:中国には黄河、インドにはインダス川やガンジス川がありますでぇ。

そんな大きな川は簡単には干上がりませんでぇ。

うし :その大きな川の流れ出してるヒマラヤ山脈の気温は、世界平均の

3倍の速さで急上昇してるんや。氷河が溶けて、2035年までに消滅

してしまうんやよ。

にわとり:中国とインドの人らが飲む水がなくなるやんか・・・・。

うし :飲み水だけやない。今までは春の雪解け水が農業に利用できたけど、

温暖化で雪解けの時期が早まれば、その水もムダに流れていく。

農業生産高も2030年までに10%は減ると試算されてるのや。

にわとり:あかん、あかん、そらあかん!

うし :中国では今年は過去半世紀で最悪の干ばつが起きていて、3億人が

水不足に悩んでる。2004年のインドでは、季節風に出た悪影響で、

2200人が死んでる。台風やサイクロンかて、最近のは、被害がむちゃ

くちゃでかいのは、聞いたことあるやろ。

にわとり:うちは、何をどうしたらええの?

うし :まずは、なんぼ暑ても「暑い暑い」いわんと、しっかりエサ食べて、

ちょっとは社会のために働かなあかん。

にわとり:わかった・・・わかりましたで。何して働いたらよろしのや?

うし :あんたの羽をばたばたさせて、ぼくに風をおくってんか!