音響の課題

建物内の音環境は、何もしなければ多くの課題に直面することになります。

その代表例が、エコー・鳴竜・音の焦点です。

エコー

エコーは『反響』や『こだま』として比較的一般的な言葉のように思います。

より具体的には、直接音と反射音が到達するまでに要する時間の差が50msより長いとき、それらの音をエコーと呼んでいます。

壁の吸音率が低いと、壁で音が反射を繰り返し、直接音が受音場所に届いてから反射音がそこに届くまでに時間が長くかかってしまいます。

その一方で、壁や床、天井や家具の吸音率が高いと、エコーは防ぐことができそうですが、残響の無いとてもあっさりした音環境になってしまいそうです

室内の全面がコンクリートの打ちっぱなしでは、エコーだらけの音環境になってしまいそうですが、室内の全面がカーペットのような柔らかい素材でおおわれていると全然音が響かない迫力に欠けた部屋になってしまうかもしれません。

鳴竜

鳴竜はフラッターエコー(Flutter Echo/ひらひらしたエコー)とも呼ばれる現象で、身近なところではトンネルで体験することができます。

一か所から発した音が、湾曲した天井面などに反射し、その近くでは音が繰り返し聞こえる幻想です。

ルルル…とたとえられることもありますし、リリリ…と聞こえることもあると思います。

栃木県の日光東照宮には、鳴竜を体験することのできる場所があります。

薬師堂と呼ばれる建物の中には、天井がわずかに湾曲した格天井が組まれています。

その天井の真下でスタッフの方が拍子木を鳴らすと、その音が天井と床の間を往復しルルル…やリリリ…といった音に聞こえます。

音の焦点

音の焦点は、大きな害ではないのですが、「油断するといろいろ聞かれてしまう」という点に注意が必要です。

音の焦点は、光の焦点と同様に、音が集まって大きな音を生み出すという点です。

上の図では、音が反射を繰り返してトンネルの反対側が集まってことを示しています。