火災報知器

建物の中のどこかで火事になった時、その火事はどこかの火事ではなく、自分の命の危機につながってしまっている火事です。

直ちに行動を起こさなければ、その火事によって自分の命が失われてしまうかもしれません。

火事であることを自動で教えてくれるのが自動火災報知設備、いわゆる火災報知器です。

設置する場所の特徴に合わせて、火災報知器には3つの種類があります。

ここでは、設置する場所に適した火災報知器を選択できるよう、火災報知機の種類と特徴について紹介します。

自動火災報知設備

火災報知機には、温度を感知するタイプと、煙を感知するタイプがあります。

いずれも、火災をなるべく早く感知したいけど、なるべく誤感知はしたくないという要求を満たすことができるように設計されています。

差動式・熱感知器

差動式・熱感知器の「差」は温度(熱)差の「差」です。

差動式の熱感知器は、所定時間あたりの温度変化量が一定以上となった場合に発動する自動火災報知設備です。

調理室のように、室内の風向きによって自動火災報知設備の周囲の温度が大きく変化するような場所では、誰かが扉を開けて室内の空気が動いてガスコンロで温められた空気が自動火災報知設備付近に供給されてしまい、自動火災報知設備が発動してしまうかもしれません。

そのような、室内に大きな熱源のある部屋には向かない設備です

その一方で、室内に大きな熱源の無い部屋にはとても有効な設備です。

日射が差し込んだ時や、暖房をつけた時、PCなどの機器が起動した時の所定時間あたりの室温上昇幅より大きな室温上昇幅を検知したときに発動するように設計されており、比較的早いタイミングで火災を検出することができる自動火災報知設備です。

ちなみに、所定時間当たりの温度変化量は、15℃/minや10℃/min(消防法に関する省令)とされています。

定温式・熱感知器

定温式・熱感知器の「定温」は一定の「温度」です。

定温式・熱感知器は、差動式の熱感知器では誤検知してしまうような温度変化の大きな、厨房やボイラ室などで用いられます。

ちなみに、定温式・熱感知器の発動する温度は、60℃、70℃、80℃が多いようです。

煙感知器

煙感知器は、火災に伴う煙を感知し報知する設備です。

長い通路の一端で火災が生じた場合、他端まで熱が届く間に空気の温度が下がってしまうため、熱感知器では検知するまでに時間がかかってしまいます。

その一方で、通常室内の煙の濃度が低いため煙感知器の感度は高く設計されており、通路の一端で生じた火災を比較的はやいタイミングで検知することができます。

煙の進む速さは、水平方向では0.5~1.0m/s、鉛直方向では3.0~5.0m/sとされています。

煙感知器は、廊下や地下街などの水平方向に細長い空間や、エレベータなどの鉛直方向に細長い空間に設けられることが多いです。