問題集:日射の利用

窓での日射遮蔽において、内部遮蔽より外部遮蔽の方が日射熱取得率は高い。

答え:✖

窓での日射遮蔽において、内部遮蔽はガラスを透過して室内に入ってきた日射を対象とし、外部遮蔽はガラスにたどり着く前の日射を対象とします。内部遮蔽により一度室内に入ってきた日射は、内部遮蔽により再反射して屋外に向かうが、ガラス面で再々反射して再び室内方向に向かってくることが予想できます。その一方で、外部遮蔽は、台風等の影響を加味する必要はあるものの、日射に対する性能という点では日射熱取得率は内部遮蔽より低くなります。

Low-E複層ガラスは、Low-E複層ガラスを構成するガラス間における対流による熱の移動を抑制するものである。

答え:×

Low-EのEはEmissivityの略で、低放射の意味です。『低放射』は熱を放射しにくいことを意味します。また、『熱を放射しにくい』は放射の形で熱を放出しにくいことを意味します。すなわち、熱の移動経路は放射、対流、伝導、蒸発の4ルートがありますが、Low-E複層ガラスが抑制しているのは放射による熱の移動であり、対流による熱の移動ではありません。

快晴の日と薄い曇天の日では、一般に快晴の日の方が天空日射量が低い。

答え:○

天空日射量は空全体で乱反射し手元に届いた日射のことです。そのため、空に日射が乱反射する原因があるほど、天空日射量は増えやすいです。日射が乱反射する原因の一つが空気中の水分です。薄い曇天の日には雲に届いた日射が乱反射し、天空日射量が多くなりやすいです。快晴の日には日射が乱反射する原因が少ないので、天空日射量は少なくなりやすいです。

エアフローウインドウが2層のガラス間に室内空気を流し、ダブルスキンは2層のガラスの間に外気を流す。

答え:○

エアフローウインドウは2層のガラスの間に室内空気を流すことで、室内側の窓の温度を室温に近づけ、空調の負荷を下げることを狙っています。ダブルスキンは2層のガラスの間に外気を流すことで、日射による負荷を排出することを狙っています。

西向きの窓からの日射を防ぐには、垂直ルーバーより水平ルーバーの方が効果的である。

答え:×

西向きの窓からの日射は、四季を問わず太陽高度が低いため水平ルーバーの隙間から日射が差し込まないように、所定の太陽高度以下では全閉とすることが必要です。垂直ルーバーを用いる場合、春・秋・冬の夕方は全閉にしなくても日射を防ぐことができます。

放射冷却は、晴天より曇天のほうが多くなる。

答え:×

放射冷却は夜間放射や宇宙放射などとも呼ばれる、地表や建物の熱が宇宙空間に放射されていく現象のことです。宇宙空間は極低温であるため、宇宙と地表との温度差が大きな分だけ、地表からは宇宙空間へ多量の熱が移動していきます。ところが宇宙空間と地表の間に雲があると、雲の温度と地表の温度の間での熱の移動となり、熱移動量は小さくなります。冬季に、晴れた夜には車のフロントガラスががちがちに凍ってしまうかもしれませんが、曇りの夜には車のフロントガラスの凍る程度は替え目になっています。これも、フロントガラスが宇宙に冷やされたか、雲により保護されていたかの違いによるものです。