日影曲線と日影時間図

分譲住宅では、敷地の南側に道路のある住宅が人気があり、値段も高いそうです。

その理由は日照時間にあります。

建物のすぐ南側に別の建物が建つと、その建物のせいで十分な日照を得られなくなってしまうかもしれません。

他方、敷地の南側に道路があれば、建物の南側に道路に建物が建つことはあまり無いでしょう。

日影曲線

日影曲線は平面上に垂直に立てた基準長さの棒の影の先端が経時的に描く線のことで、日影曲線の中の一本の線は一日の中での影の位置を示すものです。

太陽は東から登り南を通り西に沈んでいきますが、日影曲線は基準長さの棒の影を対象としているので、朝日による影は西側に延び、南中時の影は北側に延び帰宅時の影は東に描かれます。

日影曲線には、一日の中の影の先端の描く線を、一年を通してまとめて描かれています。

太陽高度が一番高く、影が手前側に落ち、日影曲線が一番南側に影が来るのが夏至の日影曲線です。

太陽高度が一番低く、影が遠くに落ち、日影曲線が一番北側に来るのが冬至の日の日影曲線です。

日影時間図

日影曲線に建物の平面図を重ね、建物の影を描き、その影の経時変化の様子を描いたのが日影時間図です。

日影時間図により、検討対象の建物によりその周囲に生じる影の一日や一年の中での変化の様子を知ることができます。

日影時間図は1時間ごとに描くことが多く、一時間ごとの影の重なる枚数が多いエリアほど、長時間そのエリアが影になることを意味します。

一日のなかで、日が差さないエリアのことを終日日影と呼びます。

さらに、最も太陽の軌跡の長い夏至の日に終日日影となるエリアは、一年中日影となるエリアになります。

そのような、夏至の日に終日日影となるエリアのことを、永久日影と呼びます。

永久日影は、四方を建物に囲まれた中庭を持つ建物で生じやすいです。

広い中庭を作りにくい住宅の場合、住宅の背が低くても中庭は永久日影になりやすいです。

また、広い中庭を作りやすいオフィスや大学施設であっても、建物の背が高いことにより中庭は永久日影になりやすいです。