蒸発

形が変わることで伝わる熱

状態変化に伴って熱が移動する状態を蒸発と呼びます。

溶けるときには熱を周囲から吸収していますし、気化するときにも周囲から熱を吸収しています。

汗をかいて体が冷えるのは、汗が気化するときに皮膚から熱を吸収していってくれるからなのです。

蒸発により移動する熱の量

蒸発により移動する熱の量について、一つだけ式を出します。

蒸発による熱の移動量は、以下の式で計算することができます。

各記号の意味は以下の通りです。

Qevaporation

W

α convection

Xa, Xb

A

:  蒸発による熱移動量(W)

:  蒸発による熱移動量に関する係数(℃/(kg/kg))

:  対流熱伝達率(W/㎡℃)

:  蒸発面の温度における飽和状態の湿度と空気の絶対湿度(kg/kg')

:  濡れている面積(㎡)

蒸発による熱移動量を算出する式の中に、対流による熱移動に関する係数である対流熱伝達率が登場しています。

これは、蒸発のしやすさが対流による熱移動の効率の高さと比例することに基づいています。

風がある日(対流熱伝達率が高い日)には、洗濯物がよく乾く(たくさん蒸発する)ことを思い出すと、蒸発と対流の関係がイメージできます。

蒸発に関しても、上の式を簡単に書くと以下になります。

この式は、伝導、対流、放射、蒸発に共通する基本的な式です。

細かく見ていけば、熱の移動ルートごとにも中身は違いますし、室温や風速などによっても係数が変わってきたりします。

ただ、ざっくり言えば、この式に基づいて熱の移動量を求めていきます。