創エネと省エネ

環境配慮建築とは、エネルギー消費を最小化しつつ、人間の活動と健康に最も適した環境を実現するための建築の手法のことを指します。その中でも注目したいのが「省エネ」と「創エネ」です。

エネルギーの効率的な利用-環境配慮建築の視点

「省エネ」は省エネルギーの略で、使用エネルギーを少なくしようとするアプローチ。一方、「創エネ」は創エネルギーの略で、新たにエネルギーを生み出そうとするアプローチです。これらの考え方は、建築におけるエネルギー利用の効率化と環境負荷低減を実現するための重要なポイントとなります。

これらは、熱、電気、光という三つの視点から捉えられます。それぞれがどのように活用され、どのような効果を生むのかを詳しく見ていきましょう。

創エネアプローチとその具体的な方法

まず「創エネ」について詳しく見ていきます。「創エネ」は自然エネルギーを利用してエネルギーを供給する方法で、それぞれが熱、電気、光という視点から捉えられます。

熱エネルギーの創出では、太陽熱、地中熱、温泉熱などが活用されます。これらは自然界に豊富に存在するエネルギー源で、例えば、地中熱は地下深くに存在する熱を利用し、温泉熱は地熱や地中の熱水を利用します。これらのエネルギーは、空調や暖房装置などに活用され、建築物のエネルギー消費を大幅に抑えることが可能です。

電力エネルギーの創出には、太陽光発電、バイオマス発電、風力発電、水力発電、潮力発電、波力発電などがあります。これらは再生可能なエネルギー源を利用して電力を生成します。例えば、太陽光発電は太陽の光を電力に変換し、電力消費をカバーします。

光の創出には、ライトシェルフや光ダクトがあります。これらは自然光を効率的に建物内に導入するための仕組みで、照明に必要な電力消費を削減します。ライトシェルフは日光を建物内部に反射させ、光ダクトは光を導管によって深部に送り込みます。

省エネアプローチとその具体的な方法

次に「省エネ」について見ていきましょう。「省エネ」はエネルギー消費を抑制するための工夫や改良を行うことで、熱、電気、光という視点から捉えられます。

熱エネルギーの省エネには、日射遮蔽、断熱(窓、壁、天井、床)、遮熱、ナイトパージなどがあります。これらは建物の熱負荷を抑えるための手法で、例えば、日射遮蔽は夏場の日射熱を遮断し、断熱は冬場の熱を逃がさないようにします。

電力エネルギーの省エネには、ヒートポンプ、コージェネレーション、HEMS/BEMSなどがあります。ヒートポンプは熱を効率よく移動させる装置で、コージェネレーションは発電と熱の同時生産を実現します。HEMS(Home Energy Management System)やBEMS(Building Energy Management System)は、エネルギーの使用状況を管理し、最適な運用を可能にします。

光エネルギーの省エネには、タスクアンビエント照明があります。これは、作業部分(タスク)に必要な分だけ明るく、その他の部分(アンビエント)は適度な明るさに保つという照明の工夫で、無駄な電力消費を抑制します。