問題集:温熱環境の作り方

ルームエアコンの冷房は、室外機で圧縮して液化した冷媒を室内機で減圧して気化する際に冷媒が周囲から熱を奪うことにより、室内空気を冷やしている。

答え ○

室外機には冷媒を圧縮する圧縮機があります。また室内機には冷媒を膨張させる膨張弁があります。この二つの部品がルームエアコンの冷暖房の要点です。

熱負荷に応じて送風量を変える変風量(VAV)方式は、VAVユニットを部屋ごとまたはゾーンごとに配置することから、個別の温度制御ができない。(2019年一級建築士試験問題改変)

答え:✖

変風量(VAV : Valuable Air Volum)方式は室内の空調負荷に応じて一定の室温の風量を調整します。そのため、個別の室やゾーンで、個別の温度制御が可能です。

放射冷房は自然対流および放射により室内を空調する方式で、運転開始時から室温が安定するまでの時間は対流式冷房より短い。

答え:✖

対流式冷房は室内の空気を吸い込み温度を調整して吹出すので、蓄熱による負荷などを無視すれば部屋の容積と同じだけの空気を吸い込み吹出せば室温は安定すると考えることができます。他方、放射冷房空調は、放射面の温度を低くし、自然対流と放射により室内の温熱環境を目標とする温熱環境に近づけていきます。放射による空調が空気の温度を変えるまでには、放射冷房面と触れる空気の自然対流と、放射冷房により冷却された室内の他の面とそこに触れる空気の自然対流により室内の空気の変えるというプロセスが必要です。そのため、自然対流の風速は対流式冷房による強制対流と比較して非常に小さく、対流式冷房の室温変化と比較すると放射冷房時の室温の変化は遅いです。

放射冷房は冷却能力が高くないので、十分に冷房の効果を得るために表面温度をできるだけ低く設定した方が良い。

答え:✖

放射冷房の冷房能力は高くありません。冷房能力が高くない分は、広い面積で補っています。冷房能力が高くない分を低温にすることで補おうとすると、ジメジメと水分の多い(絶対湿度の高い)外気が室内に入ってきたときに、放射冷房面で結露して室内に水が垂れてきてしまいます。室内に水が垂れてしまうと、とてもとても大変なことになります。そこに高級ソファーがあったら「変色した!弁償して!」、そこにテレビがあったら「壊れた!弁償して!」、そこに床があったら「変色した!弁償して」、そこに人がいたら「風邪ひいた!治療費出して!」と言われかねません…放射冷房を採用するときは、除湿をする設備も絶対に必ず欠かさず導入してください。

壁面や天井面に沿って流れる噴流が、減衰しやすく到達距離も短くなる状態はコアンダ効果と呼ばれている。

答え:✖

コアンダ効果は、流体の流れが壁を伝うとスムーズになる特徴を表している言葉です。壁などの平面に沿って空気などの流体が流れるとき、流速は落ちにくく、より遠くまで流体は届きます。エアコンの吹き出し口に羽根(ルーバー)がついているのは、羽根の向いている方向に空調した空気をより多く供給するためですが、コアンダ効果と呼ばれる流体の流動の特徴によって、羽根が大きいほど風向をコントロールする能力は高いです。