日射利用の功罪

日射をうまく使っている例と、日射がうまく使われなかった例を紹介します。

日射をうまく使っている例

アフリカなどで見られる白アリの巣、通称シロアリ塚です。

冷暖房不要の建造物として知れらています。

シロアリ塚の巣には多くのトンネルがあり、暖められた空気は上の方から抜けていきます。

抜けていった空気の分だけ、シロアリ塚の中に空気は入っていきます。

暖められた空気が上から抜けていくので、空気が入ってくるのはシロアリ塚の下方の側面に空いている穴です。

下方や側面に空いている穴から入った空気は、地中の中の道のりを進むうちに地中の温度にまで冷やされます。

暖められた空気が抜けていくことによる負圧に引っ張られて、冷やされた空気はシロアリ塚の内部を流れていくのです。

シロアリ塚のシステムをまねた建物を作ることは可能です。

まずは空気を動かす動力が必要です。

その動力はもちろん暖められた空気の浮力です。

浮力を得て抜けていく空気により得る負圧に引っ張られる外気を通すのは、地中に掘った穴です。

地中に掘った穴を外気を通すことで、一年中比較的安定している地中の温度に近づけた外気を建物内に供給することができるのです。

空気を流すために地中に掘った穴のことをアースチューブと呼びます。

人間が生きてきて知識を集め始めた期間は、地球の歴史や生命の歴史からすると一瞬と言えるほど短い期間です。

生命は今もまだ進化の過程にあるともいえますが、少なくとも現時点で最も生存に有利な特性が選抜されてきて、今に至っていると言えます。

そのような生命のもつ優れた特徴の要素を、人間の生活に合うように調整して活用させてもらうことはバイオミメティクスと呼ばれています。

上記の温度差換気と地中熱利用もバイオミメティクスの一例と言えそうです。

日射を誤って使ってしまった例

下の写真は、愛知県にある名古屋工業大学の写真です。

今回対象とするのは、中央に写っている建物の局面をもった壁です。

上から見ると、下のような建物です。

キレイな円弧を描いています。

なお、写真の下方向が西です。

この円弧の中心を求めてみます。

何点か任意の点を定めて垂線を引いて行ってみます。

すると、左側の建物の入り口付近に中心点があることが分かりました。

ちなみに、下の写真の左側の建物は、名古屋工業大学の建築系の学科の建物です。

さて、その建物に西日が差してきた場面を考えてみます。

先ほどの円弧の中心を求めたときに使った垂線と円弧の交点を使って描いてみます。

入射角と反射角をそろえて反射光を描いてみました。

すると、いずれも建築系の建物の方向に光は反射していきました。

ココで着目したいのは、これらの光の集まる点です。

建築系の建物の正面で、広場の端のオレンジの点で示す場所に光が集まるようです。

名古屋工業大学の建築系の学科に通った方は、この円弧の建物により集められた光がまぶしくなる点があり、目玉焼きが焼けるんじゃないかと思うくらいに熱くなると話していました。