WBGT
WBGTは、夏季の屋外のように蒸し暑く日差しもあるような環境下についての暑さを評価するための指標です。
最近では熱中症予防に向けて、気象庁による熱中症関連のアラートにも用いられています。
ちなみにWBGTは、湿球グローブ温度と呼ばれ、Wet Bulb Globe Temperature(湿った(wet)球(bulb)のグローブ温度(globe temperature))の頭文字をとったものです。
WBGTの概要
WBGTは、熱帯地域で軍事訓練の条件を検討するために作られた指標です。
夏に小中学校の体育の実施の可否をWBGTで判断するのは、WBGTの作られた背景を考えると妥当にも思えます。
WBGTは、放射温度と湿度を主として気温を加味した温熱環境の評価指標です。
「ぐったりするほどの暑さ」や「具合が悪くなるほどの暑さ」を考える場合、とても大きな影響を及ぼすのが湿度です。脳や心臓や各種臓器の温度はおよそ37℃です。そのような内臓や筋肉で生み出される熱を放出する主なルートは、対流、放射、蒸発です。屋外環境の変動からそれらを守っている最前線の皮膚からの対流による放熱量は、皮膚に触れる空気の温度差が小さくなると少なくなってしまいます。周囲と皮膚の表面の温度との間に放射温度に差があれば放射による放熱量の増加も期待できますが、地下室などを除き、日常生活では日陰を含め皮膚の表面の温度より低い放射環境はほとんどありません。気温が高い時に体の内部で生み出される熱を放熱するには、汗の蒸発による気化熱に頼るしかありません。暑熱環境では、湿度が唯一の放熱の手段になりかねないのです。そのため、WBGTでは、湿度の重みをとても高くしてあります。
なお、WBGTは、日差しが当たるか当たらないかで計算方法が違います。
WBGTの計算方法
WBGTは、日射の有無により計算方法が異なります。
日なたで日射を受ける場合は以下で計算します。
日射の当たらない日陰や室内のWBGTは以下で計算します。
なお、各記号の意味は以下です。
tnw
tg
ta
: 自然湿球温度(℃)…自然の風を湿球に当てた状態で測定した湿球温度のことです。
: グローブ温度(℃)
: 気温(℃)