OT

温熱環境の6要素のうち、温度と放射温度の2項目で温熱環境を評価することを試みた指標です。

作用温度と呼ばれ、Operative Temperatureの頭文字をとったものです。

OTの概要

作用温度OTは、気温と放射温度の2つの環境要素のみで温熱環境を評価しようとする指標です。

気温と湿度でもなく、気温と風速でもなく、気温と放射温度です

湿度や気流があまり変動しないような地域であったり、湿度を気にしなくてよい室内で気温と放射温度だけを加味すればよいような場合は、測定項目が少ないので便利な指標です。ただ、室温と皮膚の表面温度の温度差が小さくなる暑熱環境では、蒸発による放熱が重要となるので、作用温度OTは温熱環境の評価には不十分です。また、寒冷環境においては、気温と皮膚表面の温度差が大きくなるので、気流の影響を加味しておきたいです。その点でも、気流を加味できない作用温度OTでは寒冷環境の評価指標としては不十分です。

建築士試験にもよく出てくる指標ではありますが、SET*やPMVを簡単に算出できる現在においては、使う場所がほとんどなくなってしまった指標です。

OTの計算方法

作用温度OTは、計算に用いる環境要素が気温と放射温度の二つだけであることもあって、その計算方法もシンプルです。

hc

hr

ta

tc

:  対流熱伝達率(W/℃㎡)

:  放射熱伝達率(W/℃㎡)

:  室温(℃)

:  放射温度(℃)

作用温度OTの計算式の中には、4つの要素が含まれていますが、よく見るとそれらは室温に関する要素(室温+対流熱伝達率)と放射に関する要素(放射温度と放射熱伝達率)の2つの要素にまとめることができます。すなわち、温度による放熱のしやすさと放射による放熱のしやすさで温熱環境を表現した指標が作用温度OTです。