第9話

『入ってきてほしいときもあれば、入ってきてほしくない時もある。』

日射の利用

夏の日射は、畳の色落ちを進めるし、フローリングを日焼けさせるし、プラスチックを黄ばませるし、室温を上げて暑くします。

太陽光の成分(波長)の一部である紫外線が素材を劣化させることにより、日に当たる部分の色が落ちていってしまいます。

太陽光の成分の一部である赤外線が物体の表面を振動させ熱を生み出すことにより、室温が高くなっていってしまいます。

洗濯物を南側のベランダに干すのは、夏季の日中の日射の侵入を防ぐという点では有益かもしれません。


の日射は、日向ぼっこをしたくなるくらいに暖かいし、洗濯物を乾かしてくれます。

冬は日差しの角度は夏の日差しの角度に比べると低いので、少しは部屋の奥の方に入ってきてくれそうです。


一年を通じた日射の動きを加味した日差しのコントロールは、快適で機能的な空間づくりには欠かせないようです。

第9話のポイント

  1. 快晴より明るい曇りの方が天空日射は明るい。その分、直達日射は暗い。

  2. 窓に入る日射のルートは、反射、吸収、透過。反射以外は室内に入り得る。

  3. 熱は、建物に入ってしまう前に減らしておく。外部遮蔽なら、屋外で日射を反射させられ、対流と放射でも屋外で放熱できる。内部遮蔽では室内に向けて対流・放射で放熱してしまう。

一言に日射と言っても、直射日光と呼ばれる直達日射と、直達日射を除き空全体から届く光である天空日射に分けることができます。

また、日射の性質のうち熱に着目すると、反射、吸収、透過に分けることができます。

もれなくダブりのないMECEフレームに分けて考えることで、対策や活用方法を考えやすくなります。

熱は、建物に入ってしまう前に減らしておくことが、エネルギー使用量の低減には有効です。

外部遮蔽なら、屋外で日射を反射させられ、対流と放射でも屋外で放熱できそうですが、大きなハンデも背負っています。

他方、内部遮蔽では室内に向けて対流・放射で放熱してしまいますが、大きなメリットも持っています。

日射や熱に関して、功罪両方の視点から例を紹介していきます。

優良事例は、アフリカなどで見られる白アリの巣、通称シロアリ塚です。冷暖房不要の建造物として知れらています。

いまいち事例は、光を集中させてしまうような局面を持つ、人が作った建物です。