配電設備

あなたが普段生活している場所、例えば自宅や学校、オフィス、これらの場所で電気を利用するために必要なのが、配電設備です。なんとなくその存在は認識していても、具体的にどのように機能しているのか、詳しく知らない人が多いのではないでしょうか。

配電設備とは、建物内やフロア内の電圧を調整するための設備で、分電盤などの形で存在します。これらの設備を通じて、PCや照明、エアコン、そしてエレベータなど、私たちの生活に必要不可欠な様々な電気機器へ適切な電力が供給されます。配電設備は見えないところで働いている電力インフラであり、その重要性は非常に高いです。

配電設備

交流電流と配電設備

私たちが日常的に使用している電力の大部分は交流(Alternating Current)です。交流電流は、1秒間に50回もしくは60回プラスとマイナスが入れ替わる特性があります。そして、この入れ替わる回数を周波数と呼び、日本国内でも東日本と西日本で異なる周波数が使用されています。新潟県、群馬県、埼玉県、山梨県、静岡県の一部を含む東日本では50Hz、富山県、長野県、静岡県の一部を含む西日本では60Hzとなっています。これは、明治時代に発電機を輸入した際に、東京では50Hzのドイツ製が、大阪では60Hzのアメリカ製が導入されたためです。このような事情から、今でも発電所や配電設備はそれぞれの地域の周波数に対応した設計となっています。

交流電流はさらに「単相」と「三相」に分けることができます。単相交流は一般的な家電製品で使用される形で、一つの波形で電力を伝えます。一方、三相交流は1/3周期ずつずらした単相が3つ存在し、より大きな出力を安定的に提供するために使用されます。

単相2線と単相3線

単相交流の配電は、冷蔵庫や洗濯機、ドライヤーやテレビなどの一般家電に使われることを想定したコンセントに配電されます。

ただ、単相交流でも、線が2本あるものと3本あるものがあり、単相2線は配電できる電圧が100Vのみであるのに対し、単相3線は100Vと200Vの2種類を配電できます。

さて、単相配電は大きく分けて「単相2線」と「単相3線」があります。単相2線は冷蔵庫や洗濯機などの一般家電に供給され、電圧は100Vのみです。これは、電圧のかかっている電圧線と電圧のかからない中性線(アース)との間に100Vの電圧差が存在するためです。

一方、単相3線は100Vと200Vの2つの電圧を配電することが可能です。その構成は、電圧がかかっていない中性線(アース)と2本の電圧線から成り立ちます。それぞれの電圧線は100Vを持ち、電圧線と中性線とをつなぐことで100Vの電源を、また、2つの電圧線同士をつなぐことで200Vの電源を得ることができます。このような形で、一つの設備から異なる電圧を得ることが可能となっています。

三相

三相配電では、1/3周期ずつずれた単相を3つ利用することで、より安定した出力を大きな電力機器に供給することが可能です。例えば、オフィスビルや工場では、エレベーターのモーターや空調ダクトのファンなど、大きな電力を必要とする設備に対して三相配電が行われます。

三相配電の魅力は、電圧が下がる時間が短く、電圧のかかっている時間が長くなることです。これにより、電力供給が安定し、より大きな出力が可能となるのです。