日射の角度

冬には日差しが室内に届き、夏には日差しが室内に入るのを防ぐには、庇をどれだけ伸ばせば足りるできるでしょうか?

東面と西面に垂直ルーバーを立てる場合、どんな角度にすれば、まぶしい朝日や西日を防ぐことができるでしょうか?

それらを考える際に基本となるのが日射の角度です。

太陽の動き

地球の地軸が公転面と垂直ではないことから、四季があったり、偏西風が吹いたり、赤道付近の熱が極地の方向へ運ばれたりしています。

地球の地軸は公転面と垂直な方向から約23度傾いています。

さらに、地点の緯度によって、太陽からにエネルギーの届き具合が大きく異なります。

日本は北半球にあります。日本から見ると、太陽は常に東から登って、南を通過して、西へ沈んでいきます。一見すると、とても当たり前で疑いようがないように思います。

さて、オーストラリアやニュージーランドは南半球にあります。実は、オーストラリアやにニュージーランドから見ると、太陽は常に東から登って、北を通過して、西へ沈んでいきます。南半球では、太陽が北を通るのが当たり前なのです。

赤道付近ではどうでしょうか?インドネシアやケニアでは、東から登った太陽は、6月や7月には南側を、12月や1月には北側を通っていきます。

なんだか自分が当たり前と思っていることの視野の狭さを目の当たりにしたような気分になりますね。

日射の角度 (赤道上の建物の場合)

太陽は球体です。

球体の太陽から放射される光や熱は、放射状に伝わっていきます。

ただ、地球と太陽との距離があまりに遠く、また地球と太陽の距離に対して地球があまりに小さいので、建物スケールで考える場合は太陽から届けられる光や熱は緯度によらずすべて平行に届けられると考えて特に問題有りません。

建物に降り注ぐ日射の角度について、まずは赤道上にある建物を想定して考えてみます。

赤道上にある建物を想定するのは、まずは緯度による角度の違いを加味せずにシンプルに考えてみることを狙っています。

ただ、赤道上にある建物を想定する場合でも、地球の地軸の角度からは逃れられません。

夏至にあたる日、冬至にあたる日、春分、秋分にあたる日を各国で何と呼んでいるのかは知りませんが、それらの日は建物に降り注ぐ日射の角度を考えるポイントとなります。

日本の夏至にあたる日には、赤道上の建物にとって太陽は北側の空を通っていきます。

逆に日本の冬至にあたる日には、赤道上の建物にとって太陽は南側の空を通っていきます。

当然、鉛直方向から測ると、夏至は北側に23度、冬至は南に23度になります。

日射の角度 (日本の場合)

さて、赤道直下の住宅が受ける日射の角度については分かってきましたが、やや緯度のある日本においては夏至や冬至にはどのような日差しが得られそうでしょうか。

赤道直下の住宅が受ける日射の角度は、春分、秋分の日を基準にして南側、北側に地軸の傾きの分だけ角度を振ることで得られました。

日本の建物が受ける日射を考えるには、赤道直下の住宅が日射を受ける場合の角度に測定対象地点の緯度の情報を加味することで結果が得られます。

東京の緯度がおよそ北緯35度です。

地軸の傾きはおよそ23度です。

まずは、赤道からの角度(緯度)による基準値として地軸の傾きをあらかじめ春分、秋分とし、それを基準として地軸の傾きの分だけ北側に振ったのが夏至、南側に振ったのが冬至です。

夏至の日の太陽高度は、「最低でもその角度からの日射を防ぐことができなければ、一年中日が入り込む」という状態を意味しています。

当然、夏至の日の太陽高度からの日差しをぎりぎり防ぐことのできる程度の庇の出とすると、夏至の前日まで日が入り、夏至の翌日からまた日が入ってしまいます。

冬至の日の太陽高度は、「この角度からの日射を防ぐことができれば、一年中日は入らない」という状態を意味しています。