給湯の地中熱利用

地中熱利用の給湯システムには、間接利用と直接利用の方法があります。間接利用ではオープンループとクローズドループがあり、オープンループは地下水を利用し、クローズドループは地中の熱を利用します。直接利用では、クールピットとクールチューブがあり、空気を媒体として熱を調整します。寒冷な地域では地中熱利用の需要が高く、北海道や東北などの地域では冷房だけでなく、暖房用の熱源としても地中熱利用が適しています。

間接熱利用

オープンループ

オープンループは、地下から地下水や湧水を取り出して熱を利用するシステムです。

地下水は帯水層と呼ばれる地下の水を含んだ層から取り出されます。

地中熱の温度となっている地下水と給湯用の水の間で熱交換して給湯用の水を温めます。熱交換後の地下水は、地中の帯水層に戻すか、地下に戻さずに排水溝などに放流します。帯水層に地下水を戻す場合も、取水した井戸に戻すのではなく、揚水用の井戸と還元用の井戸を分けて設けることが多いです。なお、井水を熱源として利用することも可能です。

オープンループの熱の媒体は①地下水→②ヒートポンプ→③給湯用の水の3つです。その一方でクローズドループの熱の媒体は、①地中→②冷媒→③ヒートポンプ→④給湯用の水の4つです。熱交換するたびに移動する熱量は減少してしまいますので、オープンループの方が回収できる熱量は多くなります。ただし、オープンループの場合、地下水に含まれる成分により配管が狭くなったり詰まったりするので、定期的なメンテナンスが欠かせません。

また、地下水の摂取量は、工業用水法や地域の条例により定められている場合があります。

クローズドループ

クローズドループは地中に敷設された配管に水や冷媒を循環させる過程で地中の熱を吸収させ、地中の熱を地表に移動させるシステムです。地表に移動させた熱は、ヒートポンプと呼ばれるシステムにより給湯用の熱源に使われます。クローズドループは地中の熱のみを利用するため、地下水の利用に制約がありませんが、熱源と熱の利用場所の間に冷媒を介す必要があるため、得られる熱量はオープンループと比較すると小さくなります。

垂直型と水平型がありますが、垂直型が採用されることが多いです。垂直型の場合、配管は50~100m程度の深さにまで埋設されます。

直接熱利用

クールピットとクールチューブ

地中の熱を直接利用するのが、クールピットとクールチューブです。いずれも熱の移動媒体が空気です。いずれも外気を地中熱により夏は減温、冬は加温し、温湿度を外調機により調整したうえで室内に供給します。水の比熱が4183J/kgKであるのに対し、空気の比熱は1007J/kgKと小さく、対流熱伝達率も水が100~1000W/m2Kなのに対して、空気は0~100W/m2Kであり、空気より水の方が地中の熱を受け取りやすいという欠点があります。給湯への利用方法としては、クールピットやクールチューブで得た熱を空気熱源のヒートポンプ給湯器の熱源とする方法があります。