顕熱と潜熱

空調設備が除去する熱には2種類の熱があります。

それが、顕熱(けんねつ)と潜熱(せんねつ)です。

顕(あらわ)れている熱と、潜(ひそ)んでいる熱です。

2つの熱 顕熱と潜熱

空調設備が除去する熱には、顕熱と潜熱があります。

顕熱は温度を変化させるための熱です。

日射や高温の外気の影響で高くなった室温を下げるときなど、温度を変化させるのに必要な熱が顕熱です。

もう一方の潜熱は湿度を変化させるための熱です。

夏の室内は、室温が下がっても湿度が高いとまだまだ不快です。

空調設備は湿度もコントロールするのですが、コントロールしなければならない水分を気体から液体に(除湿)、あるいは液体から気体に(加湿)状態変化させるのに必要な熱が潜熱です。

顕熱の流入と除去 潜熱の流入と除去

空調設備が除去する熱を、顕熱と潜熱に分けて考えることは分かりましたが、顕熱と潜熱は一体どこから入ってきてどのように除去すればよいのでしょうか。

熱の移動のことを考えるときには、やはりフレームで考えると漏れなくダブりなく考えることができそうです

熱の移動のフレームは以下の4経路です。

  • 放射

  • 対流

  • 伝導

  • 蒸発

4つの熱の移動経路を顕熱と潜熱で考えてみると、明確に分けることができます。

温度変化に関する熱移動経路は放射、対流、伝導の3つで、湿度変化に関する熱移動経路は蒸発の1つだけです。

室内の空気は、どのように顕熱や潜熱を得ていってしまうのでしょうか?

夏の日射は室温を上げる方向に働きそうです。

夏には、室内にあるPCやプリンターも熱源になりそうです。

給湯室でお湯を沸かすと、湯気が出るので潜熱が上がりそうですが、冬には加湿になりそうです。

…と思いつく順に挙げていくと漏れが生じそうです。

考えに漏れやダブりが生じないように、フレームで考えてみます。

放射に着目すると、日中は日射、夜間は放射冷却があります。

対流に着目すると、窓や扉の開閉や換気扇の使用に伴い室内に流入してきた外気は顕熱負荷となります。

伝導に着目すると、外気と目標室温との間に温度差があると、外壁や屋根を貫いて出入りする熱は顕熱負荷になります。

蒸発に着目すると、給湯室の湯気だけでなく、夏はムシムシ、冬はカラカラの外気も潜熱負荷になります。常に皮膚をしっとり潤していて水分を蒸発させ続けている人体も潜熱負荷になります。

顕熱として入ってきた熱はどのように除去したら良いのでしょうか?

それはもちろん顕熱で除去します。

真夏のエアコンの動いていない部屋に入った直後のように目標の室温より現在の室温が高い場合、エアコンを運転して室外機で作った低温の冷媒を持ってくることで冷やした室内機の配管やフィンに室内の空気を触れさせることにより、室内の空気の温度を下げ室内の空気の持つ顕熱を除去します。

潜熱として入ってきた熱はどのように除去したら良いのでしょうか?

それももちろん潜熱で除去します。

夏の場合は、キンキンに冷やした室内機の配管やフィンに高温多湿の室内空気が触れると、配管やフィンに触れた部分の空気の温度が露点以下に下がって飽和水蒸気以上の水蒸気は配管やフィンに結露します。

冬の場合は、加湿器に頼ります。