風力発電

環境配慮建築のアプローチとして、発電があります。ここでは、風力発電の種類と特徴を紹介します。

風力発電とは - その原理とメリット

風力発電は、その名の通り風の力を利用して電力を生成する方法です。風車やタービンが風によって回転し、その機械的エネルギーが電力に変換されるという流れです。その働きを分かりやすく例えるなら、風車が回ることで内部の発電機(ジェネレータ)が動き、電流が生まれるのです。

この風力発電の最大の特長と言えるのが、再生可能でクリーンなエネルギーという点です。風は自然界に無尽蔵に存在し、風力発電を行うことでCO2排出量を大幅に削減することができます。こうした理由から、環境に配慮したエネルギー供給の手段として注目を浴びています。

ただし、風力発電には風が吹いていなければ電力を発生できない、風力発電所の設置には広大な土地が必要といった課題も存在します。そこで発電設備の設計や設置場所の選定、さらには各種発電機の特性を理解することが求められています。それでは、以下の章で風力発電の主要なタイプ、すなわちプロペラ型、ダリウス型、サボニウス型について詳しく見ていきましょう。

プロペラ型風力発電の特性

プロペラ型風力発電は、その形状が飛行機のプロペラに似ていることから名付けられました。この形状は、風力発電機が風を効率良く受け取ることができるデザインとなっています。また、プロペラ型の風力発電機は、風向きに合わせてタワー全体が回転する機能を持つものが多く、風向きの変化に柔軟に対応できる利点があります。

しかし、プロペラ型風力発電の場合、一般的には大規模な設備が必要となります。また、設置場所の選定にも注意が必要で、周囲に障害物がないこと、一定以上の風速がある場所が適しています。これらの要因から、一般的に見かける風力発電設備はこのプロペラ型が主流となっていますが、都市部や住宅地での利用は限定的です。

ダリウス型風力発電の特性

ダリウス型風力発電は、風車の軸が垂直に立っているのが特徴的な発電方式です。フランスのエンジニア、ジョルジュ・ダリウスの名前がつけられました。このタイプの風車は、風向きに関係なく風力を受け取ることができるため、風向きが一定しない場所でも効果的に利用できます。

しかしながら、ダリウス型風力発電の効率はプロペラ型に比べて若干低く、特に風速が高い状況ではその差が顕著になります。一方、静かな運転音や独特の見た目から、都市部での利用やデザイン性を求める場合には適した選択となります。

サボニウス型風力発電の特性

サボニウス型風力発電には、「バケツを並べたようなタイプ」と「垂直軸風車型」の2種類があります。ここでは、そのうち「垂直軸風車型」について詳しく見ていきましょう。

垂直軸風車型のサボニウス型風力発電は、風車の軸が垂直に配置され、半円形のブレードが周囲に設けられた形状が特徴です。風はこれらのブレードに当たって力を与え、それによって風車が回転します。そして、この回転エネルギーが発電に使われます。

この垂直軸風車型のサボニウス型風力発電機の最大の特徴は、風向きを問わずに発電が可能であることです。これは、風向きが頻繁に変わる場所でも安定して発電できるため、その設置場所に対する柔軟性を持つと言えます。

また、風速が低い状況でも効率良く発電が可能という利点があります。これは、風速が不安定な地域や都市部など風速が必ずしも高くない地域での利用に適しています。特に、ビルや家屋の間を吹き抜ける風を利用した発電が可能であり、これにより都市部での風力発電の普及に寄与しています。

一方、出力効率はホリゾンタル型(プロペラ型)の風力発電に比べて低いというデメリットもあります。そのため、大規模な風力発電所の設置には向いていない可能性があります。

しかし、そのコンパクトな設計から個別の建物や家庭での利用、都市部での小規模な発電施設の設置に適していると言えるでしょう。このような特性を理解し、適切な場所と目的で使用することが、垂直軸風車型のサボニウス型風力発電の最大の利点を引き出す鍵となります。