面と日射量
限られた予算内で、夏の日射を室内になるべく入れないためには天井や壁のどこに投資するのが費用対効果が高いでしょうか?
日射から得る熱量が最も多い面に投資するのが良さそうです。
では日中の日差しを受けそうな天井面や南面だけでなく、朝日や西日を受けそうな東面や西面も案外大きな日射量を受けそうななか、ただ一面のみを選ぶとしたらどの面を選ぶのが妥当でしょうか?
換言すれば、一日のなかで日射から得る熱量が最も多いのは、天井面、南面、東面、西面のうちどの面でしょうか?
日射量
日射量は、夏至と冬至に着目して考えていきます。
夏至と冬至に着目するのは、最も極端な条件だからです。
夏至は、最も日が長く、建物が日射から得る熱量が最も多くなる日です。夏至の日に耐えられるような能力を持った空調設備を備えていれば、夏の暑い日にもシステムがダウンすることを予防することができるかもしれません。
逆に冬至は最も日が短く、建物が日射から得る熱量が最も小さくなる日です。冬至の日でも求められている室温を維持できる程度の能力をもった空調設備を備えていれば、雪降るような寒い日でも凍えることなく作業を進められそうです。
夏至や冬至の日の正午の日の高さは、以下のように考えていきます。
まず、赤道では春分の日や秋分の日には真上から日射がさすことを考えます。
赤道では春分や秋分の日に真上から日が差します。緯度35度程度の日本の場合、まず春分の日や秋分の日を考えて35度分日射を傾けた状態から考え始めます。
赤道では夏至と冬至には、春分の日・秋分の日の太陽の方向から、北側/南側に地軸の傾いている角度分だけ振った方向から日が差します。日本の場合、緯度の分だけ傾かせた春分の日・秋分の日の太陽角度から、北側/南側に地軸の傾いている角度分だけ振って夏至と冬至の太陽の方向を導きます。
夏至の日射量
夏至の日射量は、具体的な日射量の重要ですが、各面の日射量の大小関係がまずは重要になってきます。
大小関係を明らかにすることにより、対策を重点的に立てる必要のある面の優先順位を立てることができます。
日射量の大小関係を考えるときには、日射量をベクトルで考えるとイメージしやすいです。
夏至の場合、日射量のベクトルの水平面からの角度はおよそ78度となります。
78度にたどり着く考え方は以下です。
垂直な方向(90度)から、緯度の分(35度)だけ傾ける(90度-35度)。これが春分の日、秋分の日の太陽角度となります。
その値に地軸の傾き(23度)の分だけ立て直す(90度-35度+23度=78度)。これが夏至の日の太陽角度となります。
この時、日射量×sin(78度)が水平面日射量となります。
同様に、日射量×cos(78度)が南面日射量となります。
78度のベクトルを描いてみると、水平面と南面の日射量の大小関係がざっくりとイメージできます。
当然、日の出や日の入りに近い時間帯などでは水平面日射量より東面や西面の日射量が多くなる時間帯もあります。
ただ、終日の日射量で比較すると水平面日射量が最も多く、次いで東面と西面で多くなります。
夏の暑さを印象付ける空の見える南面は、東・南・西・水平の各面のなかで最も夏至の日射量が少ない面なのです。
冬至の日射量
冬至の場合、日射量のベクトルの水平面からの角度はおよそ32度となります。
32度にたどり着く考え方は以下です。
垂直な方向(90度)から、緯度の分(35度)だけ傾ける(90度-35度)。これが春分の日、秋分の日の太陽角度となります。
その値に地軸の傾き(23度)の分だけさらに倒す(90度-35度-23度=32度)。これが冬至の日の太陽角度となります。
夏至の場合と同様に、冬至の時の日射量×sin(32度)が水平面日射量となります。
同様に、日射量×cos(32度)が南面日射量となります。
32度のベクトルを描いてみると、冬至の日に室内に差し込んでくる光が南面に多いのか水平面に多いのかがイメージしやすいです。
雪の見える南面は、東・南・西・水平の各面のなかで最も冬至の日射量が多い面なのです。