光源の種類

白熱電球を発明したエジソンが起業したアメリカのGE社が白熱電球の製造・販売子会社を手放し、日本で白熱電球を初めて製造・販売した東芝もその製造・販売から撤退したように、白熱電球には厳しい目が向けられています。

その一方で、LEDが一気に普及しました。

市場から消えつつある白熱電球と市場を一気に奪い取ったLEDでは何が違うのでしょうか?

光源の種類

光源の種類には、大きく7種類があります。

その特徴から、白熱電球が消えつつある理由も見えてきます。

光源の種類を考える視点として、以下の3点に着目します。

  • 効率 lm/W

  • 色温度 K

  • 寿命 h

効率は、lm/Wで表されていることからもわかるように、1Wの消費電力で生み出すことのできる光束の量です。同じ消費電力量でより多くの光束を生み出せ明るくすることができるほど、効率の高い照明機器であると考えます。

色温度は、物体を加熱したときの温度と色の関に基づいた指標で、色温度2000Kはオレンジがかった白、色温度5000Kは白、色温度20000Kは青みがかった白です。

寿命は、点灯できる時間のことです。

白熱電球

白熱電球は、ガラスでできた球の中に、金属でできた熱や光を発する細い線(フィラメントと呼ばれています)を設置し、熱や物質に対して反応しにくいガス(不活性ガスと呼ばれています)を充てんしたものです。

通電する電圧に応じて発光の程度を調整することができますが、色温度を変えることはできません。

白熱電球の色温度は2800K程度です。夕日(色温度は1800K程度)やろうそくの炎(色温度は2000K程度)と近く、温かみを感じる色です。

一般的な白熱電球は、24時間つけ続けたら1.5カ月~3カ月くらいで切れてしまうようです。

ハロゲン電球

ハロゲン電球の構造は白熱電球とほぼ同じです。ガラス球、フィラメント、ガスが基本的な構成です。違うのは充てんされているガスです。

白熱電球には不活性ガスが充てんされています。それに対してハロゲン電球にはハロゲンガスが充てんされています。

ハロゲンガスの特徴はその明るさです。スポットライトに使われたり、自動車のヘッドライトに使われたりします。

構造が白熱電球と同じであるだけあって、効率や色温度、寿命は白熱電球と大して変わりません。

蛍光ランプ

蛍光ランプは蛍光灯のことです。

蛍光ランプの構造は、実はわりと白熱電球と似ています。蛍光ランプもガラス管とフィラメントとガスで構成されています。ただ、その使い方が白熱電球とは違います。

蛍光ランプのガラス管には、電子がぶつかると光る蛍光物質が塗布されています。フィラメントには電子を放出しやすくするエミッタ―(電子放出性物質)が塗布されています。充てんされるガスには、放電しやすくするアルゴンガスが用いられています。

蛍光ランプの色温度は4500K程度で、白熱電球(2800K程度)より高く、直射日光(5000K)に近いです。

高圧水銀ランプ

高圧水銀ランプの構造や発光方法は蛍光灯に似ています。ガラス管とフィラメントとガスで構成されていて、ガスがポイントです。

高圧水銀ランプは、その名の通り水銀が用いられています。実は水銀が用いられているのはガスで、水銀蒸気と放電しやすくするために少量のアルゴンが充てんされています。

エミッタ―(電子放電性物質)の塗布された陽極と陰極の電極があり、その間を放電することにより電子が水銀蒸気にぶつかり発光します。

高圧水銀ランプが高温になり水銀蒸気が十分に蒸発するまでに数分間かかります。点灯してから十分に明るくなるまでには数分間かかります。

メタルハライドランプ

メタルハライドランプ(metal halide lamp)は高圧水銀ランプと構造がとても似ています。効率も、発光する色温度も寿命も似ています。違うのは、充てんするガスの種類や濃度を変えることで色温度を変えられるという点です。

メタルハライドランプで発光できる色温度は4000Kを中心に3800~4300Kの間で調整可能です。

ちなみにハライドとはハロゲン化物のことで、メタルハライドはハロゲン化金属のことです。

ナトリウムランプ

ナトリウムランプの基本構造は水銀ランプと同じで、ナトリウムランプに充てんされているガスはナトリウムガスです。

ガスの違いは、効率、色温度、寿命に影響しています。

ナトリウムランプは水銀ランプより、効率は2倍、色温度は低め、寿命は1.5倍程度になっています。色温度は2300K程度で夕日(1800K程度)に近いです。

ナトリウムランプの名称は普段あまり聞きませんが、実は身近なところにも使われています。例えば、トンネルのオレンジ色のランプはナトリウムランプです。

LED

LEDはLight Emitting Diodeの略で、直訳すると光を発するダイオードです。発光ダイオードとも呼ばれています。ダイオードは、電子の流れを一方向に整える電子部品です。

LEDの発光は、エレクトロルミネッセンス(EL)効果に基づいています。ELは、有機ELディスプレイのELと同じです。

構造は、他の光源とは大きく異なります。

他の光源と異なり、色温度は白熱電球と同程度(2800K)から直射日光(5000K)まで幅広く変更可能です。寿命も他の光源の数倍も長いです。

白熱電球が消え、LEDが広がる理由

白熱電球が全くなくなるのはずいぶん先になるでしょうし、家庭の照明がすべてLEDになるのももう少し先になりそうです。ただ、白熱電球や蛍光灯からLEDへ置き換わる基本的な流れは変わりそうにありません。特に、白熱電球からLEDへの置き換えは、他の照明器具からLEDへの置き換えよりも早く進みそうです。

その理由の一つは、LEDの演色性と消費電力量の優位性です。

ガラス管+フィラメント+ガスの組み合わせの照明器具の中では、メタルハライドランプとナトリウムランプが色温度を調整可能ですが、その調整幅は500K程度が限界です。ろうそくの炎の色と白熱電球の色の差がおよそ1000Kなので、500Kの調整幅はあまり多様でないと言えると思います。

その一方で、LEDの調整幅は2200Kにもなります。白熱電球の色と直射日光の色の色温度の差がおよそ2400K程度なので、LEDは明らかに違う色を作り出すことができると言えます。

多くの照明器具が低消費電力でも発光はするので、照明器具の消費電力量は幅広くなります。白熱電球や蛍光ランプは数W~1000W程度、高圧水銀ランプやメタルハライドランプ、ナトリウムランプは数十W~2000Wです。

その一方で、LEDの消費電力量は2~9W程度です。他の照明器具との消費電力量の差は歴然です。

もう一歩進んで考えてみると、製造から廃棄までのライフサイクル全域にわたり生み出される二酸化炭素の量であるLCCO2は、調査結果に基づくと、白熱電球からLEDへの切り替えで8割減、蛍光ランプからLEDへの切り替えで2割引きと大きく削減することができるのです。

白熱電球や蛍光ランプでになってきた色温度も代替できてしまい、寿命がより長く、消費電力量やLCCO2もより少ないLEDへの置き換えの流れは当然と言えるのかもしれません。

受験のときに枕元で灯していて付けた本人が寝落ちても律儀に照らし続けた白熱電球の暖かさ、好きなんですけどね。