絶対湿度と相対湿度
空気中の水の量は湿度であらわされます。
洗濯物を外に干して大丈夫かどうか考える際に気にする湿度は相対湿度です。
外気温の低い日に窓でどの程度の量の結露が生じるか気にする人がいるかわかりませんが、除湿量などを考える際に登場するのが絶対湿度です。
絶対湿度と相対湿度
温熱環境や空調設備で扱う湿度には2つの湿度があります。
その一つは相対湿度です。最大限ため込める水分量に対する、現在抱えている水分量の割合のことです。
空気の温度が変わると最大限ため込める水分量は変わるため、現在抱えている水分量は一定でも空気の温度が変わると相対湿度は変わります。
もう一つは絶対湿度です。空気に含まれる水分量です。
空気の温度が変わっても、含まれる水分量に変化はありません。
相対湿度であっても、絶対湿度であっても、基準となるのは乾いた空気1kgの中の水の量です。
乾いた空気のことをDry Airと表現します。
乾いた空気1kgあたりの水の量(kg)を考える場合、単位はkg/kg(DA)となります。
これは絶対湿度の単位です。
相対湿度の見方
今、乾いた空気1kg(DA)の中に、7人の水がいたとします。
また、その乾いた空気の温度では、含むことのできる水の量は10人分だとします。
その場合の相対湿度は、実際に含まれている水の量/最大限含むことのできる水の量=7人/10人=70% となります。
絶対湿度の見方
次に、絶対湿度を考えてみます。
絶対湿度は乾いた空気1kgの中に含まれている水の量です。
どれだけ含むことができるかは関係なく、含まれている水の量のみに着目します。
10人の水を抱え込むことができるのかもしれませんが、絶対湿度では気にしません。
今含んでいる水の量のみに着目します。
7人の水を含んでいる場合、絶対湿度は水7人分の重さとなります。
乾いた空気の温度が高くなると、その空気が含むことのできる水の量は増えます。
しかし、絶対湿度は含んでいる水の量のみに着目します。
そのため、温度が上がろうが下がろうが、空気中の水分量が変わらなければ絶対湿度は一定です。
空気線図上で結露させてみる
温度30度、相対湿度40%の空気を、20℃まで冷やしても相対湿度は70%になるだけです。
相対湿度が100%に達していないので、まだ空気の中に水を含む余地があり、まだ結露はしません。
では、温度30度相対湿度40%の空気を、いったん温度30度相対湿度80%にまで加湿した空気を、20℃にまで冷却する場合を考えてみます。
温度30度相対湿度80%の空気の絶対湿度は0.0216kg/kg(DA)で、その空気が持っている水の量は0.0216kgです。
20℃の空気が持てる最大の水の量は、温度20℃相対湿度100%の状態の絶対湿度0.0146kg/kg(DA)です。
最大で0.0146kgしか持てないところに、0.0216kgの水を押し込まれてしまうと、0.007kgの水があふれだします。
このあふれ出した0.007kgの水が結露水です。
さらに、温度30度相対湿度80%の空気を10℃にまで冷却することを考えてみます。
10℃の空気の持てる最大の水の量は、相対湿度が100%になるときの水の量ですので、温度10度相対湿度100%の時の絶対湿度0.0106kg/kg(DA)です。
最も多くても0.0106kgしか蓄えることのできない10℃の空気に0.0216kgの水を押し込もうとすると、0.014kgの水があふれだします。
このあふれ出した0.014kgが結露した水の量です。