第4話
『竜はルルルと鳴く』
音響の計画と課題
栃木県の日光にある日光東照宮の薬師堂(本地堂)の竜はルルル…と鳴くそうです。
私にはリリリ…と聞こえました。
薬師堂には上に凸に湾曲した天井があり、そこに竜の絵が描かれています。
凸の頂点付近に竜の顔があり、竜の顔の下で手をたたいたり拍子木を打ったりすると、その音が天井と床との間で反射を繰り返します。
その反射を繰り返している音がルルルやリリリと聞こえるのです。
薬師堂は、1961年に焼失してしまったそうです。
その後、焼失前にもあった竜の鳴き声を再現できるように天井の湾曲の程度までも忠実に復元したそうです。
第4話のポイント
第4話のポイント
最適残響時間は、音楽系の施設では長く、言葉系の施設では短い。
Δt > 50msでエコー。
ホールや講堂のような大空間では、特に音響を気にします。
残響時間の短いコンサートホールでは、音に重みを感じにくいかもしれません。
逆に残響時間の長い講堂では、人の話し声がぐゎんぐゎんと鳴って聞き取りにいかもしれません。
音が重要な要素となる建物の目的を達成するためには、音響を丁寧に計画して行くことになります。
ホールや講堂、大きな会議室やイベント会場の音響を計画するうえで、回避したい課題が3つあります。
それが、エコー、鳴き竜、音の焦点です。