第1話

『外の空気を室内に入れたいんだ!力を貸してくれないか!』

換気設備の概要

「換気」は、室内の空気を屋外に捨てて屋外の空気を室内に持ち込むことです。

窓が開いているだけでは空気は動きません。

室内の空気を内輪で扇いでも、空気を入れ替えるほどには空気は動きません。

空気を動かすには、強力な力が必要なのです。

第1話のポイント

  1. 換気で空気を動かす力=自然の力+機械の力

  2. 自然の力=風の力+熱の力

  3. 窓の形=流量係数

  4. 風圧力=押し込む力 or 引き抜く力

空気を動かす力

窓を開ければ換気することはできます。

換気扇をつけても換気することはできます。

ただ、換気したい場所を換気したい量だけ換気できるかは分かりません。

窓際で人が内輪で扇いでも多少は換気できそうですが、時間がかかりそうです。

扇ぐ人が発する二酸化炭素や発汗も気になります。

換気したい場所を換気したい量だけ換気するには、それを叶えることのできる分だけの空気を動かす力が必要です。

外を吹く風が室内に入ってくると、カーテンがひらひらしてちょっと邪魔ですし、畳んだ洗濯物は崩されてしまいそうです。

台所のガスコンロの火は消えてしまいそうですし、宿題の紙も飛んで行ってしまいそうです。

ドアの隙間はヒューヒュー鳴りそうですし、部屋の扉は勢いよくバタンッと閉まりそうです。

そんな風の力は換気の力としても使えそうです。

空気が動く自然の力が生じているのは、あとは熱ですね。

扇がなくても温かい空気は上に移動していきますし、冷たい空気は下に移動していきます。

換気扇はもちろん機械換気の動力です。

換気扇がついているのはお風呂やトイレ、台所等です。

風の吹き出す方向は、お風呂もトイレも台所も屋外方向ですね。

逆に、室内に入れる方向の換気扇はなかなか見かけません。

換気するエリア

住宅であれば、臭いを室内に充満させたくない台所やトイレ、湯気を室内に入れたくない浴室を室内の空気の出口とすることで、住宅内の空気の流れは作れそうです。

これがウイルスを扱う病院であればどうでしょうか?

高発熱機器のある工場ではどうすれば工場内が暑くなりにくいでしょうか?

住宅のように、建物内に同じ空気が流れ込んできても特に問題なければ、建物全体を一体として考えて換気を計画しても大丈夫そうです。

このような建物全体を一つの空気の通り道として考える換気の考え方を全体換気と呼びます。

その一方で、病院内のある一室であったり、広い工場の中で一か所だけ行われている高発熱機器を使用した作業がある場所など、そのエリアだけが特殊な環境の場合、そのエリアだけを特殊に換気することが効率的です。

このようなエリアを限定した換気の考え方を局所換気と呼びます。