『竜はルルルと鳴く』

音響の制御と騒音

栃木県の日光にある日光東照宮の薬師堂(本地堂)の竜はルルル…と鳴くそうです。

私にはリリリ…と聞こえました。


薬師堂には上に凸に湾曲した天井があり、そこに竜の絵が描かれています。

凸の頂点付近に竜の顔があり、竜の顔の下で手をたたいたり拍子木を打ったりすると、その音が天井と床との間で反射を繰り返します。

その反射を繰り返している音がルルルやリリリと聞こえるのです。


薬師堂は、1961年に焼失してしまったそうです。

その後、焼失前にもあった竜の鳴き声を再現できるように天井の湾曲の程度までも忠実に復元したそうです。

話のポイント

  1. 劇場では、音源近くは反射重視、客席後方では吸音重視。

  2. 軽衝撃音には床の表面的弾性向上で、重衝撃音には床の構造的剛性で対抗。

目的の音環境があり、防ぎたい音環境の課題が明確になったら、あとはその音環境を作っていくだけです。

音環境を建築的に制御していく主な方法が、反射と吸音です。

コンサートホールや会議場などでは音環境を強く意識した設計をしていきます。

その一方で、住宅やビジネスホテルなど日常生活を過ごす空間においても、音環境が気になることは多々あります。上の階の人の足音が聞こえたり、扉を閉める音が聞こえたりするのは、心地よいものではありません。

騒音問題を建築的に低減する方法について紹介します。