問題集:火災と消火設備

火災の3要素は、エネルギー、可燃物、酸素である。

答え ○

火災は、激しい酸化です。参加には、もちろん酸素が必要です。また、参加される対象物、すなわち可燃物が必要です。酸素と可燃物があるだけでは、酸化は緩やかに生じるだけで、燃え上がりはしません。燃焼を始めるにはエネルギーが必要です。エネルギーが付与されることにより、酸素と可燃物が激しく結合し、火災となるのです。

火災の3要素のうち一つだけを欠くだけでは、火災を防ぐことはできない。

答え ×

火災は、エネルギー、可燃物、酸素のいずれか一つでも欠ければ防ぐことができます。消火設備は、3要素のうち少なくとも一つの要素を欠くことができます。例えば、水を噴霧するスプリンクラーの場合、蒸発による気化熱によりエネルギーを奪っていくことで火災を鎮静化します。粉を噴霧する消火器の場合、可燃物への酸素の供給を絶つことにより火災を窒息させ鎮火に近づけます。

不活性ガスによる消火設備は、オフィス空間など一般に人が居住する空間に適した消火設備である。

答え ×

不活性ガスによる消火設備は、起動時に不活性ガスを噴霧し、可燃物への酸素の供給を絶つことで鎮火を図っています。そのため、不活性ガスが噴霧されると酸素濃度が低下していくため、人は滞在することはできなくなります。人が常時使用するオフィスには、不活性ガスによる消火設備は設けません。不活性ガスによる消火設備は、電気機械室や地下駐車場など、人が一時的に滞在する場所に設けることのできる消火設備です。

屋内消火栓設備は、1号消火栓では半径25m、2号消火栓では半径15mを想定し、その円すべての床面を覆うように配置する。

答え 〇

室内消火栓設備は、タイプによって消火に寄与できる面積が違いますが、いずれのタイプを採用する場合でもすべての床面をカバーする必要があります。二人で扱う1号消火栓の場合は、一つの消火栓で半径25mの範囲内の床面をカバーできると想定します。一人で扱う2号消火栓の場合は、一つの消火栓で半径15mの範囲内の床面をカバーできると想定します。

一般用の高置水槽から給水される消火用高置水槽は、一般用の高置水槽より高い位置に設ける。

答え ✖

停電時でも一般用の高置水槽からの給水が滞らないよう、消火用高置水槽を一般用の高置水槽より低い位置に設けて、給水の動力として位置エネルギーを確保します。

ドレンチャ設備は屋根や開口部に水幕を作ることにより延焼を予防する設備であり、文化財には用いない。

答え ✖

ドレンチャ―設備は、屋根や開口部、外壁の近傍から散水して水幕を作ることで、延焼の予防を図る設備です。火災の被害から守るために、文化財にも設置されています。

二酸化炭素や窒素などを用いる不活性ガスによる消火設備は、常時人が在室する室に用いることはできない。

答え 〇

不活性ガスを用いる消火設備は、酸素濃度の希釈とガスの状態変化に伴うエネルギーの吸収による冷却で消化します。人が常時在室する室で不活性ガス消火設備が発動すると、酸素濃度の低下による二次災害が生じる危険性があります。そのため、不活性ガス消火設備は、人が一時的に在室する受変電室などでは有効な設備となりますが、人が常時在室するオフィスなどには使用できません。

スプリンクラーのうち開放型スプリンクラーは温度を感知して放水する。

答え ✖

スプリンクラーには閉鎖型と開放型がある。火災を感知しやすい場所には火災を感知するセンサを備えている閉鎖型、大空間など火災を感知しにくい場所には火災を感知するセンサを備えていない開放型のスプリンクラーを設置します。火災を感知するセンサーが設けられているの閉鎖型のスプリンクラーには、湿式、乾式、予作動式の3種類あります。開放型が発動するには、連動させた感知器の発動、または手動による起動などの方法があります。

湿式の閉鎖型スプリンクラーには、スプリンクラーヘッドまで常時消火水が加圧充水しておく。

答え 〇

スプリンクラーには閉鎖型と開放型があります。閉鎖型には火災を感知するセンサが備えられており、開放型には火災を感知するセンサは設けられていません。閉鎖型のスプリンクラーには湿式、乾式、予作動式があります。湿式はヘッドまで常に加圧充水しておくタイプ、乾式は配管途中の弁(乾式弁)まで充水しておきその先は常時空気を加圧充填しておくタイプ、予作動式は煙感知設備と連動するタイプです。

乾式の閉鎖型スプリンクラーには配管の途中に弁があり、弁からスプリンクラーヘッドまでは空気を減圧しておく。

答え ✖

スプリンクラーには閉鎖型と開放型があります。閉鎖型には火災を感知するセンサが備えられており、開放型には火災を感知するセンサは設けられていません。閉鎖型のスプリンクラーには湿式、乾式、予作動式があります。湿式はヘッドまで常に加圧充水しておくタイプ、乾式は配管途中の弁(乾式弁)まで充水しておきその先は常時空気を加圧充填しておくタイプ、予作動式は煙感知設備と連動するタイプで

泡消火設備は油類の消化に適した消火設備で、窒息効果および冷却効果により消火する。

答え 〇

泡消火設備は、水による消火が適さない油類の火災の危険性が高い場所に設けられる。泡消火設備からは泡が噴出され、その泡が可燃物を覆うことによる窒息効果および泡を構成する成分の一つである水が蒸発する際に気化熱として熱を吸収することにより消火を図る。

火災は、A火災、B火災、C火災、D火災、ガス火災があり、A火災は普通火災、B火災は油火災、C火災は電気火災、D火災は金属火災を意味する。

答え 〇

火災は可燃物の種類によりA火災(普通)、B火災(油)、C火災(電気)、D火災(金属)、ガス火災に分けられています。火災の種類により、消火に使える材料が異なります。例えば、A火災は木や紙などの火災で水による消火が可能ですが、B火災は油による火災で油に水をかけると爆発的に蒸発してしまうために水による消火はできません。

横長の窓は、縦長の窓に比べて噴出する火炎が外壁から離れにくいことから、上階への延焼の危険性が高い。(2019年一級建築士試験問題改変

答え ○

縦長の窓から噴出する火炎は、天井付近の高温ガスが噴出する幅が狭く勢いが強いため、外壁から離れやすいです。他方、横長窓は高温ガスが噴出する幅が長いため噴出する勢いは縦長窓の場合より弱くなります。火炎の噴出する勢いが弱いため上階の外壁を延焼しやすくなります。

避難時に利用する階段室への出入口の有効幅員は、一般に、流動係数を考慮し、階段の有効幅員よりも広くする。(2019年一級建築士試験問題改変

答え ✖

流動係数は群衆流動係数とも呼ばれる値で、単位時間・単位幅あたりの通過可能人数のことです。階段の流動係数は出入り口の流動係数より小さいです。階段の方が混雑しやすいのです。そのため、階段が混雑することによる転倒の危険を回避するために、出入り口の有効幅員は階段の有効幅員より狭くします。

不特定多数の者が利用する大規模量販店等において、売場の避難出口の扉は、廊下等の有効幅員に配慮しつつ、内開きにすることが望ましい。(2019年一級建築士試験問題改変

答え ✖

多数の人が利用する建物の場合、避難出口は避難する方向に開ける扉にします。避難出口に多くの人が集まった場合、内開きでは集まった人に押されて扉を開けられないかもしれません。