問題集:音の物理と生理

様々な音が混在している音環境において、着目する音だけを選択的に聞き取ることのできる能力をカクテルパーティー効果と呼ぶ。

答え:〇

多くの人の話し声のあるパーティー会場でも話相手の声を選択的に聞き取ることができます。また、混みあった電車での友人との会話や、大人数のいる教室の中で自分の名前を誰かが言ったとき、なぜだかその音だけは聞き取れてしまいます。このような、聴覚における選択的注意の能力はカクテルパーティー効果(cocktail party effect)と呼ばれています。

高周波の音より低周波の音の方が、加齢に伴い聴覚を失いやすい。

答え:

加齢に伴い、高周波な高い音ほど聞こえにくくなります。鼓膜の奥に周波数ごとに反応するセンサがあるのですが、そのセンサは加齢や大きな音を聞き続けたりすると劣化してきます。大きな音を一時的に聞くとその後しばらく音が聞こえにくくなるのは、大きな負荷を緩和しようとする脳の情報処理の特性であり可逆的(そのうち治る)ですが、加齢や長期間にわたり大きな音を聞き続けたことによる聴力の低下は不可逆的(治らない)です。

聴覚のマスキングは、マスカー(マスクする音)の周波数に近い音ほどマスクされやすく、マスカーの周波数に比べ、高い音の方が低い音よりもマスクされやすい。(2019年一級建築士試験問題改変)

答え:○

マスカーとマスクされる音が近いほど、音はマスクされやすいです。また、マスカーの周波数より高い音の方がマスクされやすいです。マスキングを聴覚の構造を考えてみます。聴覚は、蝸牛で圧力エネルギーから電気信号に置き換えられますが、蝸牛の入り口に近い方が高い音、奥の方が低い音に反応するセンサになっています。そのため、マスキングする音の方がより奥に入り込む方がマスクしやすくなります。すなわち、マスクする音の方が低い音、マスクされる音の方が高い音という組み合わせの方が、マスキングの程度は大きくなります。

マスキングは、周囲が騒がしいことにより、聞きたい音が聞き取りにくくなる現象をいう。(2018年一級建築士試験問題改変)

答え:○

マスキングは、聞きたい音がその他の音により聞き取りにくくなる現象です。マスカーとマスクされる音が近いほど、音はマスクされやすいです。また、マスカーの周波数より高い音の方がマスクされやすいです。

音の大きさの感覚量は、音圧レベルが一定の場合、低音域で大きく、3~4kHz付近で最小となる。(2018年一級建築士試験問題改変)

答え:×

音の大きさの感覚量は、低音域で小さく、3~4kHzで最も高くなります。音の感覚量と周波数の関係は等ラウドネス曲線で表すことができます。等ラウドネス曲線では各周波数で、同じ大きさの音に聞こえるための音圧レベルが示されています。