季節と負荷
外気は、夏には室温より高温となるため冷房負荷ですが、冬には室温より低温となるため暖房負荷になります。
ということは、冷房負荷になるような外気と暖房負荷になるような外気の間に、空調負荷にならない温度がありそうです。
ここでは、日射、内部発熱(人+PC)、外気(昼 or 夜)を例に挙げ、それらが季節によってどのように負荷になり、どのように負荷ではなくなるのか季節を追ってみてみます。
空調負荷は、夏は冷やしたくて冬は温めたい熱量のことです。
ここでは、空調負荷の正負の季節による変化をざっくりと描いた図を使って考えていきます。
日射
季節に関わらず、日射が温める熱の量は一定として考えてみます。
庇があれば夏の日射は直接室内に入ってこないでしょうし、窓の方位によっても室内を温める熱量は異なるでしょうが、ここでは季節変化のみに着目して簡単に考えてみます。
室内を冷やしたいときに、温める方向に働く日射は、冷房負荷となります。
その一方で、同じ日射であっても、室温が目標室温より下がりがちな冬では日射は部屋を暖めてくれる熱源になります。
日射を遮りたい季節と、日射を取り入れたい季節で、扱いはずいぶん違うようです。
内部発熱
人体やPCなどの内部発熱は一年を通して同じような放熱をします。
夏に使う扇風機や冬に使う加湿器など、季節性の発熱する機器もありますが、ここではそれらを平らにならして簡単に考えていきます。
夏の室温を下げたいときの内部発熱は、冷房に除去してほしい負荷です。
蛍光灯がLED化されてきて照明による内部発熱は少なくなってきたようですが、PCやプリンター、人体はなかなかオフィスからはなくならず、冷房負荷となる内部発熱は発生し続けます。
内部発熱は、室温を高くしたい時期には暖房として機能します。
人体やPCは、冷房時には邪魔者ですが、暖房時には助っ人になってくれるんですね。
夏に、周囲を冷やしてしまう吸熱部分があれば、内部発熱と相殺して空調負荷を減らせそうです。
周囲より温度の低い部分、それが地中です。
地中熱利用は、設備の規模が大きくなるため小規模な建物で利用しようとするとコストパフォーマンスが悪くなってしまいますが、ビルなど大型の建物であれば、地中に負荷を持っていくことで夏の空調負荷を減らせそうです。
外気(夜)
夜間の外気温は、真夏の熱帯夜を除き、室温より低いことが多いです。
この低温外気は、負荷としてだけでなく、負荷の除去としても使えそうです。
もちろん、夜の外気温が目標とする室温より高い場合は、冷房負荷になります。
また、夜の外気温が目標とする室温より低い冬季には、大きな暖房負荷になります。
その一方で、冷房負荷でも暖房負荷でもない期間がありそうです。
その期間であれば、外気を室内に取り入れることで、日射による冷房負荷や、内部発熱による冷房を除去することができそうです。
冷房負荷、暖房負荷と外気は厄介者のように扱われてしまいますが、中間期にはささやかな冷房、暖房としても機能してくれているのです。
外気(昼)
昼の外気温は、夜の外気温より温度が高いので、冷やしたい要素が増えて、図はやや下方に移動します。
当然、夏の日中の外気温は、目標とする室温よりも高温で、大きな冷房負荷になります。
冬の日中の外気温は、もちろん目標とする室温よりも低温となり、暖房負荷となります。
ただ、冷房負荷となっている期間と暖房負荷となっている期間の間に、負荷ではない期間もありそうです。
目標とする室温と外気温が近い時、外気を室内に取り入れることで、人体やPCなどの内部発熱や日射により得る熱を除去してくれそうです。
夏や冬には過酷な外気も、春や秋の中間期には冷房負荷を除去してくれる、エネルギー不要の空調設備になるんですね。