照明設計

照明設計は、我々が日々過ごす空間における視覚的な快適さと機能性を確保するための重要な工程です。明るさ、色温度、影の質、方向性などを考慮した照明は、人々の生活や作業の質を向上させ、また空間の雰囲気を演出します。

照明設計に関わる三種類の仕事

照明設計の中心には「照度設計」があります。これは、部屋の中の照度分布を計算し、最適な照明方法と照明機器の台数を決定する作業です。私たちがどのように空間を見るかは、照度分布に大きく影響されます。そのため、照度設計は、人々が特定の空間で快適に過ごすための基礎的な要素と言えます。

照明設計のプロセスには、様々な専門分野からの専門家が関与します。それぞれの立場から考えると、以下の三種類の立場が重要となります。

電気設備エンジニアは、最も工学よりな立場のエンジニアで、電源を供給するルートの検討から制御に関する点滅制御、照明の設置位置に関する配置計画や見え方を左右する配光、場合によっては器具のデザインまで手掛けていきます。

照明デザインナーは、見えない部分については扱わない代わりに、光の色のデザインも行っていきます。

建築意匠デザイナーは、ターゲットとする瞬間の光の見え方を設計していきます。

照度計算の方法

照度の計算方法には、以下の二つの方法があります。

オフィスなど広い空間を平均的に照明する場合は平均照度計算を採用し、美術館などの特定の場所の照度を気にする場合には逐点法を採用します。

平均照度計算

平均照度計算は、広い空間全体を均一に照明する場合に採用されます。この計算方法は、全体的な明るさを部屋の床面積で割った値を使用します。一見、複雑な数式のように思えますが、要素の数は多いものの、その内容は単純です。例えば、オフィスや学校の教室など、広い空間で均一な明るさが求められる場合にこの方法が用いられます。 

逐点法

一方、逐点法は特定の場所の照度を重視する場合に使用します。逐点法は、特定の点に焦点を当て、その点での明るさを計算します。美術館のような場所で、特定の絵画や展示物を照らすために使われます。 

これらの計算方法を適切に適用することで、照明設計は空間の機能や使用者のニーズに最適に対応します。そして、これらの計算は、照明の配置や種類、電力量などを決定するための重要なガイドラインとなります。

以上のことから、照明設計は単に明るさを確保するだけではなく、人々の視覚的な体験や空間の機能性を高めるための重要な工程であると理解できます。これは、建築学、電気工学、デザイン学、心理学などの多様な分野の知識を必要とします。そして、これらの知識を有効に組み合わせることで、我々はより快適で機能的な空間を作り出すことができます。