私は2007年に台湾に来ました。主業務は、大学にて日本語を教えることですが、同時に日本文化、主に茶道の実技の手配をすることになりました。この手配が厄介でした。親日的な地域であり、日系デパートの林立するこの台湾ですら、道具の入手というのは、なかなかに大変だったのです。
常に予算や期日との戦いで、道具類(お茶やお菓子の消耗品等も含む)を何とか安く、且つ、早く手に入れられないかと、道具を探して台湾国内を駆け回る羽目になりました。
台湾の陶器は優れた物が多く、品質的な問題はありません。しかも、物価や為替、輸送費を考えていくならば、現地調達で流用可能なものは流用してしまうほうがはるかに安かったからです。(毎回、美術梱包で、空輸するのは・・・船便は一ヶ月・・・)
そんな中で、汝窯の茶器類に出会いました。これらの茶器類は、茶道には利用しづらい物ではあったのですが、やはり、あの不思議な青色に心惹かれるものがあり、いつしか手頃な値段のものを買うようになっていきました。
そして、その茶器を集めだした頃と平行して、私達夫婦に「中国茶をたしなむ」という共通の趣味が出来始めていたのです。茶道用の茶や和菓子を探していた副産物でした。
そこそこ使うものだから、「ちょっとかわいい物がほしい」、「あれ、あの茶杯ちょっとカッコいいね」、「この茶海、この前買ったあの茶壺に合いそうだよ」・・・
もちろん汝窯ばかり買っていたわけではありませんが、気が付けば、それなりの数になっていました。なまじ数があるものだから、なんとなくコンプしてみたくなる。ちょっと知らないメーカーを、持っていない形を見かけるたびに買う。そういう生活が始まりました。
ほとんど同じような色の器が、同じような形の器が・・・しかも普及品・・・何個も、何個も。